津波被災地アチェで撮影 「海を駆ける」来年公開 ディーン・フジオカ主演 日イ仏合作映画
日本とインドネシア、フランスの3カ国共同制作映画「ラウ(ザ・マン・フロム・ザ・シー)」(邦題・海を駆ける)が2018年に公開される。日イの合同チームが約1カ月にわたり、津波被災地のアチェ州で撮影。主演に人気俳優のディーン・フジオカさんが起用されるなど日イ俳優陣が共演する。来年国交樹立60周年を迎える両国の記念すべき作品となりそうだ。
日活とインドネシアの制作会社カニンガ・ピクチャーズ、パラリフィルム、フランスのコムデシネマからなる合同チームが制作。フランスで編集作業を行う。日本では18年5月、インドネシアでは18年中ごろの公開を予定。
監督は、昨年のカンヌ国際映画祭のある視点部門で審査員賞を受賞した「淵に立つ」の深田晃司さん。日本を訪れていたカニンガのウィラワティ最高経営責任者(CEO)を、スタジオジブリの鈴木敏夫代表取締役プロデューサーが日活に紹介、日イの映画発展につながると共同制作が決まった。
ことし8月5日にクランクインし、アチェ州バンダアチェとサバン両市で28日間撮影。日本とインドネシア、英語、アチェ語の四つの言語が飛び交う。
東日本大震災があった11年、深田監督は12月に京都大学とアチェのシャークアラ大学が実施した震災復興シンポジウムの撮影係を志願しアチェを訪問。その後何度も足を運び、被災者の体験談に耳を傾けた。
深田監督は7日、中央ジャカルタのモール、グランドインドネシアのCGVシネマズで開かれた記者会見で、「死生観など日本と重なるところと違うところが興味深く、カルチャーショックを受けた。日本の若者が両市に来たらどう思うかを考え作った。現地の人にも出演してもらい、当時のことをほぼドキュメンタリーの形で話してもらった」と語った。
物語は2本の軸で進む。一つは海岸で倒れていた謎の男ラウ(海を意味するインドネシア語「ラウット」から。ディーン・フジオカ)の正体を、現地に住み災害復興活動をする貴子(鶴田真由)が探る。二つ目は、バンダアチェに父親の遺灰を撒きにやってきたサチコ(阿部純子)、いとこで貴子の息子・タカシ(太賀)と友人役のアディパティ・ドルケン、スカル・サリの恋愛模様。ラウの正体探しと若者のラブストーリーが交錯する。(中島昭浩、写真も)