木材建築広げたい 日本建築文化保存協会 講演やワークショップ開催
建築模型を中心にした建築文化の発展を目指す日本建築文化保存協会は10月28日から約1週間の期間、日本の木材建築の魅力を伝える講演、ワークショップなどの活動を行っている。
同協会がインドネシアで大規模に活動するのは初めて。28日に中央ジャカルタのセンチュリー・パークホテルで開かれたセッションでは、実際に建築模型を展示。インドネシア、日本、フィリピン、シンガポールの住宅関連企業幹部や建築家らが講演した。
昨年、インドネシアで初となる10年保証付きの戸建て住宅販売を始めた、住宅関連商社のすてきナイスグループ現地法人の上原壮広取締役は、ブロックやレンガを使う建築が多い現状を顧みて「骨組みで木造を使う住宅事業を行っていきたいと考えており、パートナー探しをしている」と話す。
骨組みで木を使う意義として「エコでありながら、簡単かつ早い期間で、強度を計算しやすい家を造ることができるようになる」と話し、「木材建築についての課題の一つがシロアリ。解決に向けてのシステムを研究している」と語った。
同日にはインドネシア大学日本語学部との間で、今後3年間にわたって建築文化についての研究を共同で進めていく協定を結んだ。来年の日イ60周年事業と関連して催しを企画していくという。31日は西ジャワ州デポック市のインドネシア大学で、世界で活躍する建築家の原田真宏さん(芝浦工業大学教授)が講演。工学部建築学科の学生に対して、スライド上で自身がデザインした木材建築の実物を紹介しながら魅力を語った。
原田さんは「(他の文化を模倣するのではなく)インドネシアらしさを残した建築を造っていってほしい」と話す。また、設計をする上で最も重要な要素として「社会の要求に応えた合理性は重要だが、自然そのものを感じられるような建築であること」を挙げた。(平野慧)