サルーラ2号機が稼働 伊藤忠、九電ら出資 世界最大級の地熱発電
北スマトラ州サルーラにある地熱発電所第2号機の商業運転が開始した。事業に参画する国際石油開発帝石(INPEX)が10日、発表した。
出力は3月に稼働した1号機と同じ約110メガワット(MW)。独立発電事業者(IPP)による発電所建設では世界最大規模。2018年までに3号機の運転を始める予定で完成した場合、総出力は330MWに達し、210万世帯の電気を賄う。運転開始から30年間、国営電力PLNに売電する。
伊藤忠商事と九州電力が25%ずつ、INPEXが18%強出資している。発電設備では東芝が蒸気タービンを納入している。14年には国際協力銀行(JBIC)がプロジェクトファイナンスを組成した。
インドネシアには2万8千〜2万9千MW換算の地熱資源があるとされているが、現在の発電容量は約1700MW。依然として発電の主力は火力で地熱の比率は5%程度だ。火力発電に必要な石油、ガスの開発も順調とはいえず、石炭についても「価格が上がっており、中国の需要が期待できる。産地国が国内で供給する余力は少ない」(エネルギー鉱物資源省幹部)という意見がある。
政府が進める3万5千MWの電力開発事業で火力発電を増やすと、石油やガスの輸入量が膨らむ。経常赤字が増えて財政を圧迫するリスクがある。
こうした状況下で、政府は2025年までに地熱、水力など再生可能エネルギーで得る電力の割合を現在の8〜9%から23%に引き上げる目標を掲げており、外資の参加も募っている。
日系企業では住友商事が
西スマトラ州南ソロック県ムアララボ鉱区の地熱発電所事業に携わっている。80MWの総発電容量を見込む。(平野慧)