初のインドネシア語使い 日イ関係に新風の期待 外務省南東アジア2課 宮本新吾課長
日本のインドネシア外交を統括する外務省南東アジア2課(アジア大洋州局南部アジア部)にインドネシア語を業務上も駆使する新課長が就任した。宮本新吾さん(51)で、6年前の在インドネシア日本大使館勤務を機会にインドネシア語の勉強を開始、当時の外相ともインドネシア語だけで会話するほどの本格派で、今後の日イ両国外交関係に新風を吹き込むことが期待される。
宮本さんは米国に赴任した父親の関係から子ども時代から米国生活を体験した米国派人間。国家公務員採用第1種試験(水産)に合格して1994年に外務省入省。国連代表部や本省北米第1課に勤務しており、英語力は総理通訳官も務めるほど外務省でも指折りの英語使いとして知られている。
インドネシアとの関係は外務省総合政策局安全保障政策課課長補佐を経て2009年6月に在インドネシア日本大使館に政務班長(1等書記官)として赴任してから。赴任前から「仕事は相手国の言語で」とインドネシア語の猛勉強をはじめ、2年半のジャカルタ滞在中、インドネシア外務省をはじめとする政府機関や政治家たちとの会話はすべてインドネシア語で押し通した。
「インドネシア語専門職の方ほどにいかないけれども、相手の方が無理せずに英語で、と言ってくれてもなんとかインドネシア語で頑張った」。次第に話せるようになり、当時のマルティ・ナタレガワ外相や米国駐在時代に知り合ったディノ・パティ・ジャラル駐米大使ともインドネシア語で会話した。
宮本さんは「米国は私にとって外国ではない気がしていたけれども、居心地がよく気持ちが落ち着くインドネシアを知って、私がアジア人で米国では緊張していることが分かった」と話す。その後、米国の日本大使館参事官を経て本省の総合政策局安全保障政策課国際安全・治安対策協力室長を歴任したが、異動の打診には「南東アジア2課長」と希望をはっきり出していたという。
両国関係については「助ける、助けられるという感じの両国関係の時代は終わった。対等なパートナーとしてこれからインドネシアと協力していきたい」としている。(小牧利寿、写真も)