広がるデモ、募金活動 ロヒンギャ支援 ボロブドゥール集会は移動
ミャンマーの少数派ムスリムのロヒンギャへの支援を呼びかける運動が全国各地に広がっている。8日には、中部ジャワ州マグラン県にある世界遺産の仏教遺跡、ボロブドゥール寺院前でイスラム団体が大規模集会を予定していたが、警察は国内で宗教間の対立を引き起こしかねないとして近隣のモスクへ移動させた。
ボロブドゥール遺跡群周辺で8日、強硬派イスラム団体のイスラム擁護戦線(FPI)などが抗議集会を計画したが、国家警察はこれを禁止。この日、治安部隊約3千人が警備に当たり、同寺院周辺の道路を封鎖し、寺院入り口に金属探知機を設置するなど厳戒態勢を敷いた。警備は強化されたが、観光客は通常通り入場できた。
ボロブドゥール寺院から約2・5キロのアン・ヌル・モスクには各地から約1千人が集結。モスクに入る際には手荷物検査があり、旗などが押収された。金曜礼拝の後、参加者はロヒンギャ虐殺を止めるようミャンマー政府に訴え、難民支援の募金活動を実施した。発起人の1人、アナン・イマムディン氏は「インドネシアのムスリムは平和を愛している。ロヒンギャを守るよう世界に訴えると共に、お金を出し合うなどしてロヒンギャを支援したい」と話した。
ロヒンギャ擁護デモは同日、首都圏や全国各地でも行われた。中央ジャカルタのミャンマー大使館周辺では、イスラム団体や弁護士団体、学生のグループなどが集まった。午後2時すぎには500人ほどになり、大使館前の通りは有刺鉄線で封鎖された。
西ジャワ州バンドン市は5日から、インターネットを通じて募金活動を開始。リドワン・カミル市長によると3日間ですでに13億ルピアが集まった。8日には州庁舎(グドゥン・サテ)前で、アフマッド・ヘルヤワン知事と僧侶らが集会に参加し、募金を呼びかけた。
中部スラウェシ州パル市街地ではFPIが開いた集会に仏教団体が参加し、募金を手渡した。西ジャワ州タシックマラヤ市では、イスラム団体がアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相のポスターに火を付けるなどして気勢を上げた。
スー・チー氏はロヒンギャの保護を目指す姿勢を示す一方、「解決には時間が必要」と話しており、ムスリムの多い国を中心に国際社会から批判を受けている。国連の推計では、バングラデシュへ避難したロヒンギャ難民は7日までに16万人を超えた。(毛利春香)