高まる情報漏えい危険性 KPMG セキュリティーセミナー
監査や税務、コンサルティングを行うKPMG・インドネシアは4日、中央ジャカルタの事務所で会社の情報セキュリティーに関するセミナーを開いた。
同社ジャパンデスクの蓑和秀夫さんが、情報セキュリティー強化の必要性や対策における注意点などについて講演し、インドネシアの情報セキュリティーの危険性は高まっていると説明した。日系企業は、情報漏えいなど内部の人間による持ち出しなどについて対策を講じる一方で、不正アクセスなど外部からの攻撃に対しては対策が取れていないケースも多いと指摘した。
被害事例として、海外出張中の社長のアドレスを使って社長になりすまし、経理部門長に緊急送金を指示、数億円相当をだまし取った事例を紹介した。社長だけでなく、取引先を装ったメールの事例もあるとし、なりすまし詐欺が横行していると警鐘を鳴らした。
また、セキュリティー対策について、金融業では個人情報の流出、製造業では自社の技術情報など、業種やビジネスによって守るべき情報の優先度は異なると説明。まずは守るべき情報資産を特定し、それに関連するリスクをリストアップ、どの程度対策を取れているのか、何が必要なのかを検討すべきと話した。その上で、ウイルス対策ソフトなどの対策を導入。さらにチェックや改善を続けることが重要だと強調した。
また、ゲスト講師としてソフトバンク・テレコム・インドネシアの犬塚淳マネージング・ディレクターが最近のセキュリティー動向について講演した。
サイバー詐欺やコンピューターウイルスは日々高度になっており、万全なセキュリティーは存在しないし、誰でもウイルスに感染する可能性があると説明した。その上で、ウイルスに感染したら、電源を落とさない▽指示に従って金を振り込むなどのリアクションを取らない▽担当者にすぐ連絡、相談――などの対応を強調した。ウイルス感染を放置した結果、ウイルスが他の社員のコンピューターにも感染、増殖したケースもあるので、感染した後の対応を社員によく周知させておくことが重要だと説明した。(坂田優菜、写真も)