EC課税を検討 財務省 国外取引確認が課題
財務省は電子商取引(EC)への課税を検討している。所得税(PPh)と付加価値税(PPN)の両税法改正案に絡み、国外で処理されている取引履歴の確認を簡素化するなどして、税収増につなげたい考え。
スリ・ムルヤニ財務相はこのほど、地元メディアに「商品の所有者や購入者がどこに税金を支払うのかが今後の大きな課題になる」と説明した。EC事業者は、スマートフォン一つで登録・販売ができるため中小零細企業も多く、所得税は大部分が所得税年次申告書(SPT)で自己申告するため、取引の確認が難しい。
中銀は7月、国内の銀行決済システムを統合する仕組み「全国決済ゲートウエー(NPG)」に関する規定を発表。中国のユニオンペイ、米国のマスターカードやビザなどのように、インドネシア独自の決済手段として、国内カード発行機関の間で統一した仕組みを使用することで取引の確認が容易になる。
2018年6月までに相互接続・運用できるシステムを作り、19年をめどに統一した形のカード発行を目指す。財務省は税務総局などと協力し、EC事業者に対する新しい課税の仕組みを構築する。
租税分析センター(CITA)のユスティヌス・プラストウォ代表によると、国内ECの年間決済額は最大200兆ルピア。NPGやEC課税の新たな仕組みの運用が始まれば、決済額の10%にあたる20兆ルピアの税収増が見込めるという。
政府の18年の税収目標は、前年比9.3%増の1427兆7千億ルピア。スリ財務相は「税収の対国内総生産(GDP)比は11.5%を予測している」と話した。現在の割合は10.3%。
政府は昨年11月にEC成長のロードマップとなる経済政策パッケージ第14弾を発表した。年間売上48億ルピア以内の中小零細企業の所得税率を1%にする方針を示していたが、通常同30%が課せられる個人事業主と比べて低すぎるため、再評価を行っている。(中島昭浩)