移転価格・賃金構造を解説 第4回静友会会合
静岡銀行の取引先同士の親睦団体「インドネシア静友会」は23日、西ジャワ州カラワン県のカラワン工業団地(KIIC)事務所で第4回会合・セミナーを開き、二輪・四輪関係など製造業を中心に会員企業の約60人が出席した。
フェアコンサルティング・インドネシアの子田俊之さんと佐藤篤さんが講演した。
子田さんは移転価格税制について問題点を絞って解説。「現在、2016年3月期の税務調査が最終局面にあるが、当局が移転価格課税について特段、集中的に調査している様子はない」と報告した。
その一方で企業が改めて自社の税務リスクを把握すること、提出書類の内容の確認、税務調査時の対応のあり方について考えておくことの重要性を語った。
佐藤さんは賃金テーブル作成義務について解説した。政府は15年に従業員の階級や職位、勤続期間などを考慮して賃金の構造やその幅(賃金テーブル)を定めることを義務付けた。違反した場合は業務停止などの罰則がある。
賃金テーブル決定について、賃金テーブルは経営者が一方的に決定できるので、労働組合と協議する必要はない▽従業員への通知の際には、面談や紙面で通知し、問題が起きないように記録を残した方がよい——など注意点を説明した。
また、アジア各国の近年の最低賃金動向を振り返り、「インドネシアは中国やベトナムと比較しても、最賃の上昇率が際立って高い」と指摘した。
今回は初の試みとして静岡県東南アジア事務所の芹澤裕之所長が講演。静岡大学が推進するアジアからの留学生受け入れ制度「アジアブリッジプログラム」について説明した。
試験料や1年目の授業料が全額不徴収で奨学金制度が充実していること、産学連携事業の強みを生かして日本国内での就職支援に力を入れていることなど特徴を挙げ、「県内をはじめとする日本の企業に就職して、アジア展開で活躍できるようなブリッジ人材を育成するのが目的」と話した。
同事務所はシンガポールにあり、アジア各国での経済交流や観光交流の促進を図っている。(平野慧、写真も)