300年前に巨大津波か ジョクジャ 空港予定地で痕跡発見

 ジョクジャカルタ特別州クロンプロゴ県の新空港建設予定地に約300年前、15メートルを超える巨大津波が到来していた可能性があることが7月下旬、国立インドネシア科学院(LIPI)の調査で分かった。調査チームは巨大津波がジャワ島南岸で再び起こる可能性を指摘し、「減災に取り組むべき」と警鐘を鳴らしている。
 LIPIの調査チームは2006年7月の中部ジャワ州チラチャップ沖地震・津波発生後から、ジャワ島南岸で堆積物の調査を始めた。その直後、津波被害が大きかった西ジャワ州パンガンダランで、約300年前に津波で運ばれた堆積物と思われる古い地層を発見。調査を続けると、チラチャップとバンテン州ルバックでも津波堆積物が次々見つかった。成分分析から、いずれも約300年前のものと特定した。 
 ドイツ人学者のウィヒマンの記録によれば、1699年1月5日に巨大地震が西ジャワと南スマトラを襲った。ジャワ島南岸の3カ所で見つかった堆積物の年代とほぼ一致している。 
 ことし7月下旬には、ジョクジャカルタ特別州クロンプロゴの新空港建設予定地からわずか数キロ東の地点で、津波堆積物を新たに発見。津波は海岸線から2キロ内陸にも到達し、高さは15メートル以上だったと分析した。 
 クロンプロゴの堆積物は年代がまだ特定されていないが、これまで堆積物が見つかった計6カ所の津波が同時に起きたとすれば、ジャワ島南岸を約800キロの広範囲にわたり巨大津波が襲ったことになる。調査チームを率いるエコ・ユリアント研究員(46)は、マグニチュード9の大地震が発生した可能性を指摘する。 
 エコ氏は「300年前にジャワ島に巨大津波が来ていたとすれば、将来的にまた起きるだろう」と予測し、新空港予定地での痕跡発見に「政府は津波の脅威についてよく考え、減災にも取り組むべき」と主張している。 
 2004年にスマトラ島沖地震・津波で大きな被害を受けたアチェ州でも、約550年前の津波堆積物が見つかっている。巨大津波は繰り返し起こりうるとされている。 
 ただ、国内には古い地震や津波の詳しい記録がほとんど残されていない。LIPIは今後も調査を続け、防災や減災に役立てたいとしている。(木村綾)

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