資金難に猛チャージ! ラグビーのイ代表チーム アジア選手権で スポンサー探し
11月1日、ラオスで開催されるラグビーのアジア選手権ディビジョン3東地区大会に、インドネシア代表の出場が決まった。上位ディビジョンへの昇格を目標に、強化合宿を計画しているが、大会3カ月前になっても活動予算が確保できず、代表メンバーやインドネシアラグビー協会(PRUI)がスポンサー集めに奔走している。
インドネシアは国内34州中11州でラグビーがプレーされ、競技人口は1300人ほど。世界ランキング(24日時点)は103カ国・地域中99位で、アジアでは最下位に位置する。
若手発掘とラグビーの認知度向上を図るためPRUIは、他国とのテストマッチ実施を含めた年間スケジュールを2016年に作成。ジャカルタだけで開催していた代表選考を兼ねた大会を、パプアやバリなど4地域で開く計画だった。
しかし、インドネシア政府は、ラグビーのようなマイナースポーツ単体の大会向け強化費を原則供出しない。公的支援が期待できない中、PRUIのアトランティカ・ルユ・ファウ(通称ティト)副会長(45)は「ことしも計画は実現しそうにない」と肩を落とす。
スポンサーの資金提供に頼る他のマイナースポーツと同様、ラグビーでも代表チーム主将のダニエル・ヌグロホさん(28)が経営するデザイン会社をスポンサーにしたり、ティト副会長が勤務する大手軽食チェーンに頼み込んだりして活動予算を確保してきた。
11月に迫ったアジア選手権では、強化費や渡航費を支援してくれるスポンサー探しを続けているが、まだ見つからないという。
タイで16年に開かれた前回アジア選手権も強化費などの確保に四苦八苦した。主将のダニエルさんは「16年に政府から受け取った活動予算は選手・コーチ計30人分の渡航費だけだった」と窮状を吐露。
しかも、渡航費が出たのは大会1週間前。出場自体が危ぶまれる状況下、代表チームは十分に練習を積めず、ラオス戦を12―48で落として敗退。この試合に出場した代表唯一の日本人、大矢洋平さん(32)は「各国が強くなるのを見ているだけでは、インドネシアは完全に取り残される」と危機感をあらわにした。
代表チームの強化や若手選手の発掘・育成がままならないインドネシアを尻目に、アジアでは15年ワールドカップ(W杯)の南アフリカ戦の逆転勝利で世界を驚かせた日本(世界ランキング11位)に触発され、国をあげた強化策を始動させるランク上位国も。
中国(同66位)では、ネット通販大手アリババが10年間で1億ドルという巨額の支援を発表。20年の東京五輪までに人材育成や年10万人単位での競技人口増加、プロリーグ開設などの構想を進めている。
ティト副会長は「選手強化か知名度向上か、鶏が先か卵が先かと言われるが、協会は小さな資金でも選手強化を優先する。日本の様に結果を残すことが多くの人の注目を集める。国民の1%が観戦するようになれば、それだけで260万人にラグビーを知ってもらえる」と意気込んだ。
ラグビー代表は活動資金を企業や団体問わず募集している。問い合わせは大矢さん(携帯0811・870・5295、メールyouhei.oya0703@gmail.com)まで。(中島昭浩、写真も)