首都圏交通庁設立へ 交通政策主導で渋滞緩和 大統領令案固まる JICAも策定を支援

 悪化の一途をたどるジャカルタ首都圏(ジャボデタベック)の交通渋滞を緩和するため、政府は首都圏の交通政策に関する専門機関「ジャボデタベック交通庁(JTA)」の設置に動き出している。運輸省、公共事業省などの省庁やジャカルタ特別州などの自治体が持つ首都圏の交通政策に関する権限を交通庁に移譲し、交通庁が鉄道、MRT(大量高速交通システム)、バス路線、道路整備、都市開発などを連動させてより包括的な交通政策を実施することで、渋滞の悪化に歯止めをかける狙いだ。

 ジャボデタベック交通庁の設立に関する大統領令案がすでに内閣官房に提出されており、今後、大統領が署名した上で、長官を指名し、交通庁が発足する見通し。大統領令案には各省の交通政策の権限を交通庁に移譲することが盛り込まれており、策定までには既存の鉄道、道路に関する法律との整合性も協議された。
 大統領令案の策定には、国際協力機構(JICA)が協力。経済担当調整相事務所、国家開発計画庁(バペナス)、運輸省陸運総局、鉄道総局、公共事業省道路総局などにJICAが協力する形で二〇〇九年七月から始まったジャカルタ首都圏都市交通政策統合プロジェクトで交通庁の設立に向けて協議が行われ、各省が連携して大統領令案をまとめた。
 ジャカルタ特別州、西ジャワ州、デポック市などジャカルタに隣接する州、県、市などの自治体や、MRT建設を行うジャカルタMRT社、高速道路管理運営会社のジャサマルガ社、トランスジャカルタ社、国鉄など交通政策にかかわる計約三十の組織も交通庁設立の協議に参加した。
 同プロジェクトでは当初、各省、自治体の間でばらばらとなっている交通政策を調整する役目の協議会の発足を目指していたが、協議会では大掛かりな渋滞対策ができず、渋滞は緩和されないと、経済担当調整相事務所が主導して、二〇一〇年に交通庁を設立する方向に転換。より本腰を入れて渋滞緩和に取り組むことになった。
 各省庁、自治体に分散されていた首都圏の交通政策の権限を交通庁に移管し、各省の交通政策職員がスタッフとなり、交通庁が鉄道の路線や本数、バス路線、道路網の整備などの政策を一手に引き受ける。鉄道網の整備などの交通政策にかかわる国家予算の配分も増える見通しで、大掛かりな首都圏の交通政策が可能になるとみられている。
 二十一日には、二年八カ月のプロジェクトが来月初旬に終了するのを前に、経済担当調整相事務所が、省庁、自治体や交通関連機関の幹部ら約八十人を集めて、これまでの活動を報告するセミナーを開催した。
 JICAの総合都市交通政策アドバイザーとして経済担当調整相事務所に派遣されている濱田圭吾さんは「3イン1や、バス専用レーンの設置など、個別にさまざまな渋滞対策が行われたが、人口増加や経済成長、交通量増加に追いついていなかった」と指摘。交通庁の設立により、より効果的な対策が講じられると期待感を示した。

■鉄道主体の街づくりへ
 プロジェクトでは、大量公共輸送機関である鉄道を基本とした街づくりを掲げた二〇三〇年の交通政策マスタープランもまとめ、大統領令案として内閣官房に提出した。マスタープランは交通庁が実施機関になる。
 マスタープランでは、日本の都市部のように電車の駅周辺を発展させることで、鉄道利用の上昇を目指す。プロジェクトでは、経済担当調整相事務所や州、県、市などの職員が東京、大阪、神戸などの都市部の駅の視察も行った。
 既存の国鉄駅や、建設が計画されているMRTの駅の周辺地域で、道路などの公共のスペースが占める面積の割合を増やし、トランスジャカルタや乗り合いバス、タクシーなどとの接続をより機能的にするという。土地に建物が占める割合を減らす代わりに、建物を高層化し床面積を増加させることで、住民らが移転しなくて済むようにする。また、駅周辺にオフィスビルなどを設けることで、鉄道利用だけで通勤できるようにし、自動車利用の軽減を図る。鉄道利用者を増加させるために鉄道の本数、路線の増加も行われる。
 同プロジェクトによると、ジャカルタの通勤での二輪の利用率は四三%、自動車が一二%で、人口、面積がほぼ同じの東京二十三区の二輪利用率二%、自動車四%よりも著しく高い。一方、全面積に占める道路面積の割合は東京の一六%の半分となる八%に過ぎず、渋滞は不可避な構造となっている。逆に、ジャカルタの通勤での鉄道利用率は二%以下と著しく低い。
 濱田さんは「駅周辺を開発することで、鉄道利用を促進することが渋滞緩和に不可欠。鉄道の本数が増え、路線が機能的になり鉄道利用が便利になれば、利用者も増え渋滞の悪化も抑えられる」と語った。

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