酒類規制見直しを 業界団体ら主張 「セブン閉店の原因」

 モデルン・インターナショナルがフランチャイズ展開するコンビニエンスストア「セブンイレブン」の全店舗の営業停止が決定したことに関して、酒類の販売規制が原因だと批判する声が高まっている。インドネシア経営者協会(アピンド)は規制見直しの必要性を主張しており、物品税収入増や投資動向の観点などと合わせて注視が必要だ。

 アピンドのハリヤディ・スカムダニ会長は26日、地元メディアに対し、セブン閉店の要因の一つとして「酒類の販売規制により収入が落ち込み、競争力を失った」と指摘した。
 酒類の販売規制は2015年4月、当時のラフマット・ゴーベル商業相が未成年の飲酒を防ぐために大臣令(15年第6号)を発令。コンビニなどのミニマーケット(店舗面積100〜999平方メートル)でビールなど酒類の販売を禁止した。
 現在は地方自治体ごとで管理する体制をとっているが、バリ島の一部地域などを除いて販売されていない。セブンイレブンの店頭の飲食スペースでビールを飲む人々もいなくなった。
 規制以前は、ビールなどアルコール分が5%以下の酒類の販売の約10%はミニマーケットで販売されていた。工業省によると、大臣令発令前の1年間のアルコール飲料の生産量が2億6千万リットルだったのに対し、その後の1年間で20%以上減となる2億リットルまで落ち込んだ。ビール最大シェアのビール・ビンタンを製造するマルチ・ビンタン・インドネシアも苦境に立たされ、ノンアルコール飲料の開発などで利益確保を図っている。
 消費を管理する必要がある商品に課される16年の物品税収入は、目標の145兆ルピアに対し89兆ルピアだった。税収増の狙いから、酒類をはじめとする規制の緩和を求める声もある。
 小売業協会(アプリンド)のロイ・マンデイ会長は、国全体の購買力の伸びが鈍化していると指摘、酒類販売をはじめとする小売業に対する規制緩和の必要性を述べた上で、「ミニマーケットにも配慮した、バランスのある規制を望む」と語った。
 消費の伸びが堅調に推移する一方で、こうした規制を背景にインドネシアに対する投資に二の足を踏む企業も多い。
 米コンサルタント会社ATカーニーが5日発表した、17年の新興市場「世界小売開発指数(GRDI)」ランキングで、インドネシアは30カ国・地域中で前年の5位から8位に下落した。一方、昨年11位だったベトナムが6位に上昇した。
 日系外資コンサル幹部は、原因について「ベトナムの出資法がリベラルで小売市場拡大における重要市場として注目を集めているのに対して、インドネシアの法律の決定や運用の仕方は分かりにくい。ポテンシャルはあるので、投資しやすい環境を作っていくことが必要」と話した。(平野慧)

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