早期警戒、対策を 通信情報相 新種の身代金ウイルスで
欧州や南アジアなどで被害があった新種のウイルス「Petya」によるサイバー攻撃について、ルディアンタラ通信情報相は28日、「5月に猛威をふるった(身代金要求型ウイルス=ランサムウェアの)ワナクライと感染方法が似ている」と述べ、早期警戒と対策を呼びかけた。29日時点で国内の被害は報告されていない。
同相はサイバー攻撃対策を担う管轄下の機関を通じ、インターネットサービス事業者(ISP)やネットワークアクセス保護(NAP)システム提供企業、各省庁にウイルスに関する情報を通達した。政府は引き続き情報収集と被害を最小限にするための対策を協議する。
米情報セキュリティー会社のマカフィーによると、Petyaは昨年に確認されていたウイルスで、今回のサイバー攻撃で使用されたのはその亜種。コンピューター内のファイルを暗号化して観覧できなくするだけでなく、端末起動時に最初に読み込むマスター・ブート・レコードをも暗号化して使用不能にする。
感染後に起動すると、ワナクライと同様に身代金を要求する画面が表示され、支払わなければ復旧できない。身代金はビットコインで300ドル。
被害は今のところ米マイクロソフトの基本ソフト(OS)ウィンドウズのみ。ワナクライ同様、同OSのセキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性を狙ったとされている。
通信情報省は対策として、コンピューターのネットワークを切断し、データのバックアップを作成▽正規OSをインストールし最新に更新▽ウイルス対策ソフトを導入し、最新バージョンに更新▽パスワードの定期更新――を呼びかけている。
マイクロソフトによれば、ウクライナ民間企業の金融アプリケーション向けの更新サービス経由で27日に感染が発覚。
同日中にベルギーやブラジル、米国、ロシアなどに拡散し、計64カ国で被害が報告された。(リンダ・シラエン、中島昭浩)