問われる指導力 須永大使が講演 ジェトロ・SMEJ ASEANセミナー

 日本貿易振興機構(ジェトロ)と中小企業連合会(SMEJ)は13日、南ジャカルタのクラウン・プラザ・ホテルでセミナー「ASEANの現状と今後の日・ASEAN関係」を開いた。東南アジア諸国連合(ASEAN)日本政府代表部の須永和男大使が講演した。
 須永大使はASEANの歴史について「トップダウン型で始まり、マハティール(マレーシア)やリー・クアンユー(シンガポール)などカリスマ的なリーダーが引っ張ってきた」と振り返る。
 各国の民主化後、選挙でリーダーが選ばれるようになったため、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領など国内経済に力を入れる指導者はいるが、国際社会をけん引するリーダーはいないと指摘。しかし「国別で見ると、インドネシアが果たしている役割は大きくASEANのリーダーだ」と強調した。
 2016年に中国とASEAN諸国の間の懸案である南シナ海の領有権問題について、国際仲裁裁判所の判決が出た後、「リーダーシップをとってASEANをまとめたのはインドネシアだ」と強調し、「共同体が危機に陥った時に力を見せる国だ」と話した。
 ASEANにおける日本の立ち位置については「重要性は低下している」と話す。ASEANの貿易額に占める対日本の割合は1980年時点で26%、中国は1.8%だった。しかし、2015年に日本は10.5%に落ちたのに対して、中国は15%まで伸ばし、第1の貿易相手国となっていると指摘する。
 日本とASEAN、中国、インドなどが参加する東アジア地域包括経済連携(RCEP)について、日本にメリットがある内容となるかは「ハイスタンダードな協定を結べるかにかかっている。しかし、競争力がない産業も抱える各国とのせめぎ合いになるだろう」と課題を指摘した。(平野慧、写真も)

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