にぎやかな断食前 サフール 練り歩く太鼓隊

 「サフール、サフール」「バンバンバン」――。11日午前2時すぎ、子どもたちの元気な声と太鼓の音が住宅地に響いた。ラマダン(断食月)期間中、日中の断食に備えて日の出前に取る食事サフール。中央ジャカルタの下町「クボン・カチャン」を訪ね、にぎやかな夜明け前を取材した。

  小太鼓を首から下げた3人と一緒に歩く子どもら7人で作る太鼓隊は、午前2時半ごろから同3時すぎまで太鼓をスティックで叩きながら「サフール、サフール」と叫び、クボン・カチャンを行進、住民に日の出前の食事を呼びかけた。太鼓隊メンバーは地元の5歳から12歳が中心で、12人で日々交代しながら担当しているという。   
 最年長のリーダー、アビザルさん(20)は5歳から地元で太鼓をたたいている。アビザルさんは「思いっきり太鼓をたたいて大きな声を出しながら友達と行進する、これは面白いよ」と笑顔で話す。住宅街を一回りすると、子どもたちはサフールを取りにそれぞれの家へと帰っていった。

■屋台の女性

 午前2時すぎ、店の準備をするのは夫と屋台を出すアトマワティさん(43)。2人の息子が西ジャワ州ボゴール市の大学に進学してからは、サフールも夫と2人だけになり、時間をかけなくなったという。
 「息子らがいた時は前日から鶏肉やスープの準備をしていた」と懐かしそうに話す。店を開けながら同3時ごろに夫とサフールを取る。午前4時すぎに夫はモスクへ行き、アトマワティさんは「眠たいからこのまま午前9時まで寝るよ」と話し、眠たそうに目をこすりながら店を閉めた。ブカ・プアサ(1日の断食明け)に向け午後5時ごろに再び店を開けるという。

■仲間と遊ぶ

 10人ほどで盛り上がっている若者の集団がいた。近所に住む高校生から20歳すぎくらいまでの若者は午前4時ごろに集まり、路上のスペースで楽しそうにトランプゲームで遊ぶ。
 中央ジャカルタの高校に通う1年生のエズラ・アフリザルディさん(15)は1週間続いた試験が5月に終了し、6月から長期の休みに入ったという。休みに入ってからはサフールを食べた後、毎日仲間で集まり午前6時ごろまで遊んでいるという。エズラさんは「学校も休みだからね、サフール後にみんなで集まって遊ぶこの時間が毎年楽しい」と話した。
 午前2時から同4時にかけ、にぎやかだった住宅街は、朝のお祈りに向かう人やそのまま眠りにつく人で次第に静かになり、断食の始まる日の出前はひっそりとしていた。(上村夏美、写真も)

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