戦前の原点を振り返る りそなプルダニア銀 野村教授が講演

 りそなプルダニア銀行は5日、中央ジャカルタのアヤナ・ミッドプラザ・ジャカルタでセミナー「野村徳七の精神と野村東印度殖産」を開いた。140社から220人が参加。野村貿易、野村証券、大和銀行(現りそな)など戦前の野村財閥の親族である、山梨学院大学経営情報学部の野村千佳子教授が、野村グループの戦前における農園経営について講演した。
 セミナーには来年2月に創立60周年を迎えるりそなプルダニア銀行の原点を振り返る意義もある。
 野村財閥の2代目、野村徳七がボルネオ島(現南カリマンタン州バンジャルマシン)で始めた天然ゴム園の経営は、知識や経験も不足しており困難が山積していた。
 とりわけ内部の不和は深刻で、下層労働者への差別的待遇などの問題が顕在化した。
 それに対して徳七は「誠心誠意」や現地との「共存共栄」を信念とし、労働条件の改善や福利厚生の改善を図り、派遣する日本人社員にも法規制の順守を徹底させた。
 また、不況に陥っても雇用を守るために操業をやめなかったエピソードも紹介。「一致団結」した企業精神は当時の日本人コミュニティーでも評判だったという。
 講演した野村教授は企業の社会的責任や企業倫理などが専門。10年ほど前にあらためて一族の歴史を捉え直す機会があり、インドネシアとのつながりについても感銘を受けたという。
 「野村が証券、金融で実践していた倫理的な精神が、農園経営でも生かされていることを学んだ」と話し、「事業に誇りを持ち、事業実行時は勇敢、守りは慎重」と徳七の人柄を語った。
 野村徳七は1916年、オランダ領ボルネオ島のドイツ人所有の天然ゴム園「ダナウ・サラック」を買収、アチェ州でアブラヤシやコーヒー園を経営した。スラバヤとバタビア(ジャカルタ)に貿易拠点を設置していたが終戦により接収され、解体された。(平野慧、写真も)

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