イスラムの習慣知ろう ラマダン前にセミナー 語学学校アバック 主婦ら10人集まる
語学学校「アバック(ABAC)」は19日、南ジャカルタ区のブロックM教室で、日本人駐在員や家族向けにラマダン(断食月)に関するセミナーを開いた。主婦を中心に10人が集まり、イスラム圏ならではの生活習慣を学んだ。
同校校長の水谷明澄さんが講演した。ラマダン時におけるムスリムの1日の生活を、プアサ(断食)、サフール(午前3〜4時ごろにとる断食前の食事)、マグリブ(日没=断食を終了する時間)など基本的な用語を紹介しながら説明した。
「住んでいる場所によっては、サフールの時間を知らせるモスクからのスピーカー音が鳴り響く場合があります」など、実生活に影響する情報も交えて語った。
また、運転手やメードなど身近な人たちについては、1日の断食が明ける午後6時前後は仕事の手を休ませたり、飲み物や軽食を勧めたりする気遣いの必要性を話した。
水谷さん自身が住む家が盗難に遭った経験を踏まえて「レバラン(断食月明け大祭)が近づくにつれ、帰省費用欲しさの泥棒や強盗が増えるので、要注意」と警戒の重要性を説いた。
原則として基本給の1カ月分を支払うレバラン賞与(THR)は、毎回のセミナーで質問の多い事柄だという。「運転手やメードとの契約が、個人ではなく会社単位ならば払う必要は基本的にはない」としながら、「勤続年数や関係性などによっては払う場合もあり、金額などを家族間で話し合う必要がある。お金ではなく、パルセル(贈り物の詰め合わせ)を贈る場合もある」と事例を踏まえつつ対応策を話した。
レバランの時期は、水やガスの配達が遅れる場合があり、6月25、26両日は日本食スーパーが休みになる可能性もあると説明し、「生活に必要な物は事前にストックしておきましょう」と語りかけた。
参加した来イして2カ月程度の主婦は「知らないことばかりで不安だったが、とても参考になった。同じ環境の人と情報交換もできた」と感想を語った。
水谷校長は「ラマダンやレバランの時期の暮らしのリズムを知ることは、日本人とインドネシア人がお互いにストレスをためずに生活するのに必要」とセミナーの意義を話した。
セミナーはことしで4回目。同校では、今後も秋に赴任する人や家族を対象にした「新生活セミナー」など生活に密着したセミナーを開催する予定。同校は同区パサールミングに技能実習生送り出しセンターを2016年に開設し、日本語教育ノウハウを生かした人材育成にも力を入れている。(平野慧、写真も)