労使は鏡の関係 金属労協セミナー 相互理解図る
全日本金属産業労働組合協議会(金属労協=JCM)は16日、西ジャワ州ブカシ県のMM2100工業団地内で「第8回インドネシア労使ワークショップ」を開いた。
周辺企業の労働組合員や、日系企業の経営者、人事・労務担当のインドネシア人社員など約150人が来場した。午前中は労働組合間の意見交換が行われ、午後からは講演や質疑応答があった。
浅沼弘一JCM事務局長は講演の中で「労使関係は鏡の関係」と例えを用いて説明。ストライキなど労働組合の行動は会社の行動を反映したものであり、また会社が従業員に対して取る態度にはそれなりの理由があると指摘した。「相手が悪いと決めてかからずに、自らの行動にも改めるべき点がないか考えることが必要」と相互理解の重要性を強調した。
労組側のスピーチでは自動車部品メーカーに勤めるヘンドロ・プラウオノさんが、労組立ち上げに関わったエピソードを話した。
従業員千人の会社で160人の規模で始まった労組は、社員の多くがアウトソーシング(派遣社員)で占められている状況に反発し、ストライキを断行した。
結果的に交渉は成立し、段階的にアウトソーシングを減らしていく合意ができた。さらなる要求を主張する組合員もいたが、ヘンドロさんは反対した。「(会社は)労働者が貢献し、対価をもらう存在。会社の発展こそ労組が寿命を延ばす道だ」と説明したという。
「意見の共有など、会社をサポートする面もある。経営側は恐れることなく対話してほしい。あって良かったと言ってもらえる労組でありたい」と話し、拍手を浴びた。
セミナーに初出席した、自動車部品メーカーに勤めるファジャル・ヌグラハさんは「率直に意見交換できて良かった。意見が異なる点はあっても、対話する姿勢を持ち続けたい」と感想を話した。
セミナーには労働省やブカシ市の幹部が出席し、講演したほか、日本からも産業別労働組合のメンバーが参加し、意見交換した。(平野慧、写真も)