生産能力 年間16万台 三菱自動車 新工場開所
三菱自動車の乗用車、軽商用車の生産、卸売、輸出を行う新会社ミツビシ・モーター・クラマ・ユダ・インドネシア(MMKI)は25日、西ジャワ州ブカシ県デルタマスにあるグリーンランド国際工業センター(GIIC)内に建設した新工場の開所式を開いた。式典には、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領やアイルランガ・ハルタント工業相、三菱自動車からはカルロス・ゴーン会長や益子修社長らが出席した。
新工場は投資額650億円。2015年3月に建設工事を開始。敷地面積30ヘクタールで、年間16万台の生産能力を持つ。パジェロ・スポーツの生産を始めており、10月には小型MPVの生産を始める。軽商用車のコルトL300の生産も予定し、18年3月には従業員数3千人を予定する。
日本の岡崎工場や水島工場、タイのミラージュを生産している第3工場などから最新技術を導入。排水の70%をろ過して再利用するシステムや、塗装のコーティングと焼きの工程を工夫するなど省エネルギーに配慮した。
ジョコウィ大統領は「投資が増えることで雇用を増やすことができる。政府は、産業界のニーズに合うように、人材の質を高める職業訓練学校をつくるなど尽力したい」と語った。その上で「技術移転を進め、新しいイノベーションを生みだすようにインドネシアの人材を巻き込み能力を育てること」「『規律』など日本の職業文化の良いところを研修などを通して伝え教育すること」を要望した。
■ルノー・日産と両立
式典後の会見で、ゴーン会長と益子社長は三菱自動車とルノー・日産アライアンスについて説明。ゴーン会長は「合併や統合ではなく提携と協調だ。両ブランドは互いに両立して協力していく」と語った。提携の効果について、益子社長は「他国では既に部品の共同購買や完成車の共同輸送など、部品供給、物流などの面でコスト削減効果が出ている。技術の提携や相互生産などについても話し合われている」と説明。インドネシアでも、19年をめどに10月に生産開始予定の小型MPVのプラットフォームを使った受諾生産の計画もある」と語った。
三菱自動車は16年10月、インドネシアにおける事業基盤強化のため、乗用車を中心とする「三菱自動車(MMC)」と「三菱ふそうトラック・バス」のブランドの分割を発表。17年4月に、MMCブランドの乗用車、軽商用車の生産、卸売、輸出を行うMMKIと、同ブランドの輸入、販売を行うミツビシ・モーター・クラマ・ユダ・セールス・インドネシアを設立した。
三菱ふそうトラック・バスは、従来通りクラマ・ユダ・ティガ・ブリリアント・モーターズが取り扱う。
16年のMMCブランドの販売は6万7千台で、ことしは9万台を目指す。(太田勉)