「中所得国の罠」警告 スリ財務相 旧体質脱却が急務

 スリ・ムルヤニ財務相は3日、中央ジャカルタの大手複合企業アストラ・インターナショナル本社で開かれたマクロ経済セミナーで講演した。インドネシアは過去10年間で平均5.7%の経済成長を維持してきたが、汚職や癒着など旧態依然の体制を早急に改革しなければ、成長が停滞する中所得国の罠(わな)に陥る可能性もあると警告した。 

 セミナーは、中小企業を支援するアストラ・グループのダルマ・バクティ・アストラ財団が主催。アストラ・インターナショナルのプリヨノ・スギアルト社長らが出席した。
 スリ財務相は講演で「2016年で(世界経済が)底を打ち、17年は好転することを望んできたが、この傾向はすでに経済全分野の指標に表れている」との見方を表明。海外要因はもはやインドネシア経済弱体化の原因とはなっていないと説明した。また「10年前は、まだ国家予算の歳入をいかに確保するかについて議論していたが、現在は予算をいかにより良く執行するかにシフトしている」と話した。
 インドネシアは過去10年間で堅調な内需により平均5.7%の経済成長を維持してきたことを説明し、インドネシアより高い成長率は「世界でインドと中国のみだった」と指摘。インドネシアは1人当たり国内総生産(GDP)が4千ドルに近づいており、中所得国としての問題を抱えているとした上で、「約190カ国・地域のうち、中所得国の罠を回避できたのは韓国やシンガポール、台湾など少ない」と強調した。
 また、1人当たりGDPが5千ドルから1万ドルに達しても、次の成長段階で1万5千〜2万ドルには到達できず、中所得国の罠に陥る原因としては、「政府機関が脆弱で、KKN(汚職、癒着、縁故主義)がまん延し、システムではなく個人的なつながりを利用する」ことだと指摘した。「経済は良き政策とシステムに基づいたものでなければならない」と述べ、ビジネス環境の改善を進めることが中所得国の罠を回避することにつながると説明した。
 今後の経済発展について、スリ財務相は天然資源依存から資源の付加価値化を推奨し、人材を育成することで加工技術産業を振興していかなければならないと強調した。(リンダ・シラエン)

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