租税特赦 申告額40兆円 GDPの4割占める 海外資金環流は目標未達

 タックス・アムネスティ(租税特赦)が3月31日で約9カ月間に及んだ特例期間を終えた。申告額の合計約4866兆ルピア(約40兆円)は、政府目標4千兆ルピアを達成できたが、海外資産の国内への還流額は政府目標1千兆ルピアに遠く及ばない147兆ルピアだった。租税特赦で得られた追加税収も135兆ルピアと、政府目標165兆ルピアに届かなかった。

 租税特赦は昨年7月に始まり、税務署に未申告の資産を保有する者などが、通常より低い税率を適用して納税できる制度。納税後一定期間分の税務調査免除などの優遇措置が付与される。
 申告額の4866兆ルピアは、インドネシアの経済指標と比べても巨額で、2016年実質国内総生産(GDP)1京2406兆ルピアの約4割に匹敵する額まで増えた。
 一方、海外に資産を保有している者が国内に資産を還流させる「還流額」は伸び悩んだ。財務省は、隣国シンガポールにインドネシア人が資産を置いている額を2600兆ルピアと想定し、その上で1千兆ルピアを見込んだが、政府の思惑通りにはならなかった。
 租税特赦には継続的な税収増加の狙いがある。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は以前、「納税者は全体の5%にすぎない」と指摘していたように、GDPと比較する税収の割合を見てもインドネシアは、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要国に比べ低い。政府は2020年までに現行のGDP比11%程度の税収割合を15%まで引き上げたい考え。租税特赦は、短期的な税収増や投資資金の確保以外にも、税務総局が申告者のデータベースを基に長期的な徴税活動につなげる考えがある。
 スリ・ムルヤニ財務相は3月31日、記者会見で租税特赦の対応に追われた税務総局の職員らをねぎらった上で、租税特赦の申告者が約96万人だったことに言及し、「財界の大物の申告が目立ったが、全体の申告者が伸びなかった。特に個人や中小企業の経営者はもっと申告者が増えると思っていた」と約9カ月間続いた特例期間を振り返った。(佐藤拓也)

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