ニュピ準備、身を清める
バリ・ヒンドゥー教の正月にあたるニュピを28日に控え、清めの儀式「ムラスティ」や悪霊をかたどった人形「オゴオゴ」制作などの準備が進んでいる。ニュピ当日は空港や港も閉鎖され、バリ島全体が静まりかえる。
ニュピはヒンドゥー教の「サカ暦」の新年にあたり、夜明けから丸1日、火や電気の使用、労働、外出、殺生などが一切禁止される。国営電力PLNはこの間、電力使用が4割減ると見込む。
ニュピ当日は、デンパサールのングラライ国際空港が終日、閉鎖される。店も営業せず、交通も制限されるため、静寂の1日となる。バリ島では、ヒンドゥー教徒以外や外国人観光客に対しても、静寂を妨げる行為は禁止される。
各地ではニュピを前に、ヒンドゥー寺院のご神体や供え物を海に運んで清める「ムラスティ」の儀式が始まっている。
ニュピ前夜に行われる悪魔払いの儀式「ムチャル」の準備も大詰めだ。儀式では人々がガムランを鳴らし、オゴオゴと呼ばれる張りぼて人形を担いで街を練り歩く。冥界から地上に出てきた悪霊を追い払う意味がある。
オゴオゴは従来、竹の骨組みを使って作られるが、近年はデザインや材料に工夫を凝らしたものが増え、出来栄えを競うコンテストも開催されている。
ことしも各地でオゴオゴ制作が行われる中、デンパサール市では、音センサーを使ったオゴオゴが話題に。ガムランを鳴らすと、音に反応してオゴオゴが動く仕組みだ。約2カ月半の制作期間と2800万ルピアの制作費をかけたこのオゴオゴは、南デンパサールのオゴオゴ・コンテストで優勝を果たしたという。(木村綾)