予算3割を不正流用 国会議員ら38人関与か 電子住民登録証 汚職事件初公判

 電子住民登録証(e―KTP)調達事業予算5兆9千億ルピアのうち、約3割に当たる2兆3千億ルピアが不正流用された事件で、汚職罪で起訴された内務省幹部2人の初公判が9日、中央ジャカルタの汚職特別法廷で開かれた。損害額は汚職撲滅委員会(KPK)が追及してきた大型汚職事件の中で過去最大規模。収賄者は現職・元閣僚や州知事、国会議長、与野党の国会議員、事業者ら38人に上り、裁判は政局にも影響を与えそうだ。

  汚職罪で起訴された内務省の高官2人は、イルマン元住民登録総局長と、スギハルト元住民登録総局住民行政情報管理局長。
 KPKは起訴状で、事業の予算編成や承認で便宜を図った見返りとして、2011年、イルマン被告は23億7125万ルピア、87万ドル、6千シンガポールドル、スギハルト被告は347万ドルの賄賂を受注業者から受領したと指摘した。
 政府は事業費として11〜13年の国家予算計5兆9千億ルピアを配分した。事業を受注したコンソーシアムのアンディ・アグスティヌス氏が11年2月以降、内務省と国会を仲介し、「手数料」と称して事業費から不正流用した賄賂を数回に分けて国会議員や内務省幹部らに渡した疑いが持たれている。
 KPKは14年4月に捜査を開始し、これまでに約300人に上る関係者を事情聴取してきた。国会第2委員会(内政担当)委員約40人には計55万6千ドル、1人当たり1万3千〜1万8千ドルを受け取ったとみられる。
 起訴状で列挙された議員には有力者が多数含まれる。当時のゴルカル党会派代表・同党会計局長のスティヤ・ノファント国会議長や、国会議長だったマルズキ・アリー民主党幹部、事業予算を承認した国会第2委員会の委員だったアデ・コマルディン氏(ゴルカル党会派代表)、ヤソナ・ラオリ法務人権相のほか、ガマワン・ファウジ元内務相らも賄賂を受領した疑いが持たれている。
 電子KTP事業の予算審議は10年に開始され、同年11月に国会が承認、11年に機材の調達や住民登録などが開始された。身分証として、17歳以上が常時携帯を義務付けられている住民登録証(KTP)の電子化を進め、選挙人登録や投票などにも活用する一大事業だが、データ読み取り機の不備や煩雑な登録手続きなどで時間がかかり、登録後もカードが発給されないなどの問題が起きている。(配島克彦)

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