【MRT建設 大都会の地下から(上)】掘削スムーズに 現場担当者に聞く
インドネシア初となるジャカルタ特別州の大量高速鉄道(MRT)の地下鉄工事は、高層ビルが立ち並ぶ目抜き通りの下で着々と進められてきた。地下工区は2月23日、約1年4カ月を経て貫通。2019年3月1日の開通へ向け、次の工程に移った。工事を担当する現場担当者の声を聞いた。
南ジャカルタ・スナヤンにある「青年の像」前〜中央ジャカルタのホテル・インドネシア(HI)前ロータリーを結ぶ地下工区(5・9キロ)。このうち青年の像前〜スティアブディ駅間(3・89キロ)は、清水建設と大林組、地元国営建設ウィジャヤ・カルヤ、ジャヤ・コンストラクシ・マンガラ・プラタマのJV(共同事業体)が担当している。
清水建設ジャカルタ地下工区建設担当の大迫一也所長は「トンネル工事は思っていた以上にスムーズに進んだ。だが、工期に余裕があるとは決して言えない」と話す。今後は駅舎、駅と地上をつなぐ出入り口、換気塔の建設、作業帯をコンクリートで舗装し道路に戻す作業などが残る。
出入り口や換気塔の建設場所、特に歩道の下には埋設管が多数あり、それらを移動しなければ工事は進まない。埋設管の中には許可なく設置されたものがあるほか、水道やガス、電気、下水など管の種類もさまざまで、それぞれを担当している企業に一つ一つ、移動をお願いしているという。 スティアブディ駅では2月23日、改札口からホームへ下りる階段やトイレ、機械室、駅員ら専用の使用部屋などの空間ができていた。同駅の西側は解体した掘削機「土圧式シールドマシン」を地下から地上へ取り出すためのスペースが取られているため、東側で出入り口の建設が進む。
地下工区南端のスナヤン駅では駅舎の工事はほぼ終わっており、東側の出入り口と換気塔の建設を進めている。ブンドゥンガン・ヒリル駅やイストラ駅の西側でも同様の作業が進む。
一方、北側のHI前〜スティアブディ駅(2・01キロ)は三井住友建設と国営建設フタマ・カルヤのJVが担当。三井住友建設で同地下工区担当の花木茂夫所長は、「暑くて湿度も高い地下で初めての工事。作業員らも慣れるのに時間がかかったと思う」と話す。現在は清水建設JV同様、駅舎や出入り口、換気塔の建設を進めている。
花木所長によると、ドゥクアタス駅周辺は緑地帯のため土地収用の問題はなかったが、HI前周辺ではまだ完了していない。それでも「埋設管も少なく19年の開通まで、工期に余裕はある」と話した。(毛利春香、写真も、つづく)