【看護師・介護士再就職支援】(上)また日本で働きたい 日系企業・病院が出展 家庭の事情で帰国 EPA1期生も参加 日本大使館就職説明会

 日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士受け入れ事業で、帰国したインドネシア人候補者の再就職を支援するため、在インドネシア日本大使館は22日、南ジャカルタのザ・パーク・レーン・ホテルで就職説明会を開いた。帰国した元候補生ら約50人が参加し、日系企業など20社と4病院がブースを構えた。

 看護師を目指し1期生として2008年、岐阜県に渡ったメルファ・エリザベス・オクトラ・ルビスさん(37)。国家試験に落ちたため帰国し、共愛クリニックで働いたものの、日本で働きたいとの思いが消えず、日本での就職先を探し13年にリゾート施設を運営する「クラブメッド」に就職。札幌や沖縄で働いた。
 だが、歳を重ねた両親から帰国してほしいと言われ15年に帰国。半年ほど故郷の北スマトラ州メダンで家族と過ごした。その後ジャカルタに戻り、個人で保険関係の仕事をしていたという。メルファさんは「日本で働きたいという気持ちがずっと消えない。でも家族のこともとても大切。日系企業に勤めていれば、またいつか日本へ行く機会があるかもしれないと思い、説明会に参加した」と話した。 
 同説明会に初めて参加した総合警備サービス会社セコムのインドネシア現法セコム・インドネシアの楢舘直行社長は「日本で学び日本語が堪能な人材を探すのは難しい。きょう出会った人材に期待している」と話す。
 主な仕事は日本から来た駐在員の通訳だが、同社では「社内でのコミュニケーションが重要」との思いから、インドネシア人の社員に対し日本語教育などを実施しており、「日本語を教える役割も担ってもらえるだけでなく、新しい人材を迎えることで社内も活性化する」と語った。
 同日には帰国報告会が開かれ、候補生らが出席した在インドネシア日本大使館の高田真里公使から代表して表彰状を受けとったジェリアナ・パルデデさん(39)は、13年に看護師の国家試験に合格した。
 横浜の病院で実習に励むか傍ら、試験勉強に励んだジェリアナさん。同病院では、平日の正午まで働き、午後は勉強の時間を設け、週2回、木曜と土曜に予備校に通わせてもらい木曜を休みにしたりするなど手厚いサポートを受けた。さらに試験の2カ月前からは仕事を休み、丸1日、病院で受験勉強をしていた。日本語教師が病院に来てくれたこともあったという。
 だが、「16年10月に母親の病気を看病しようと故郷のメダンに帰ったのですが、母は亡くなってしまって」とジェリアナさんは話す。「日本での看護の経験は、私の人生で他に代えられない得難い経験。だから日本の看護の経験を生かすことができる仕事を探した」。
 現在は日本の医療法人・偕行会の現法が運営するカイコウカイ・スナヤン・クリニックで働いている。「もう少し落ち着いたらまた日本で看護の仕事に就くことも考えたい。日本での経験は今後、後輩にも伝えていきたい」と笑顔で話した。(毛利春香、写真も)(つづく)

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