国鉄が新制度導入 チャロ一掃を目指し 不正購入は乗車拒否

 国鉄は、依然減らないチャロ(ダフ屋)の一掃を目指し、レバラン(断食明け大祭)に合わせ、今月から新たな乗車券購入方法を導入した。それに伴い乗車時の身分確認も厳格化。新制度により、これまでにチャロを通じて購入したとみられる乗車券5千枚近くが無効となった。乗車を拒否された乗客からは「そのような制度は知らなかった」との声が上がるが、国鉄側は「チャロや購入者に対するショック療法だ」として、新制度を継続していく方針だ。
 乗車券購入はこれまで、1人の名義で最大4人までが可能だったが、新制度では、乗客それぞれの名前の印字が必要となった。また、長距離乗車券の購入時には身分証明書の提示が義務化されているが、それに加え、改札口でも乗車券に印字された名前と身分証明書との照合が行われるようになった。
 インドネシアでは、鉄道の乗車券を買い占め、正規価格を上回る値段で売るチャロが横行している。レバラン休暇中は帰省者の利用が集中するため、チャロから乗車券を購入する人が特に多くなる。チャロから購入した乗車券での乗車は不正行為となっており、チャロの一掃が課題となっていた。
 中央ジャカルタのガンビル駅構内の改札口では、6人の駅係員が二手に分かれ、乗車券の確認を行っている。利用者は身分証明書の提示を求められ、戸惑うことなく応じている。確認が済むと乗車券に印が押され、入場が可能となる。
 電車を待つ会社員のウスマン・シャマドゥンさん(60)は新制度について、「良い制度だと思う。これでチャロの対策ができるのならば、身分証を見せるのはまったく面倒だとは感じない。乗車券の予約もしやすくなると思う」と話す。これまでにチャロから乗車券を購入したことがあるかと尋ねると、「ない」と即答した。
 チャロが法外な値段を請求して、乗客とトラブルになることも多い一方で、レバラン休暇中に西ジャワ州バンドン駅から鉄道を利用した邦人男性(27)は、乗車券購入の長蛇の列に嫌気が差し、「チャロがいれば、乗車券を買ってしまうところだった」と話す。
 乗車券が買い占められ、仕方なくチャロを利用する人だけでなく、購入のための列に長時間並ばずに済むという利便性から利用する人も多く、国鉄は今後も乗車券のオンライン予約やコンビニを通じた購入など、サービス向上の取り組みをより円滑化していく方針だ。(名古屋大学大学院国際言語文化研究科国際多元文化専攻・加藤倫子、写真も)

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