年後半 緩やかにルピア安 ことしの経済成長率予測5.1% 勝田祐輔・三菱東京UFJ銀支店長

 三菱東京UFJ銀行の勝田祐輔執行役員・ジャカルタ支店長はこのほど、じゃかるた新聞のインタビューに対して、ことしの経済成長率について景気の持ち直し基調は持続するが、伸びは緩やかなものになり、5.1%程度にとどまるとの見方を示した。5.1%成長は政府予算案と同じ見込みで「ことし(の政府予算案)は現実的」と評価した。

 勝田支店長は「16年は物価の安定や大幅な政策金利の引き下げなどを背景に、個人消費が堅調に拡大し経済成長をけん引した。ことし以降もこの構図に変わりはない」と強調する。
 一方、政府の税収不足で「過去2年の予算と比較しても歳出抑制路線に舵を切っていることは否めない」と指摘し、成長エンジンの一つだった政府支出による押し上げ効果は抑えられる見込みだ。企業の設備投資も一部で底を打った動きもみられるが、依然伸び悩んでいることから投資活動による景気浮揚に多くは期待できない。
 足元では資源価格の反発などを背景に、輸出が前年比でプラスに転じ始めた。しかし今後は資源価格の大幅な上昇を見込んでおらず、資源依存の輸出構造が足を引っ張る状況は依然変わらない。
 さらに世界的に分業が進んでいることなどを背景に、貿易の伸びが経済成長率の伸びを下回る「スロー・トレード」の傾向が常態化していることに触れ、「インドネシアも例外ではなく貿易停滞の一因となっている」と語る。
 16年の為替はインフレ率の見通しが落ち着いている中、高金利に着目した海外投資家の国債投資が加速。租税特赦法も相まって資金が流入しルピア高に推移した。
 ことしは租税特赦の失効などを要因に年後半にかけて緩やかにルピア安に推移し、1ドル1万4000ルピア前後を視野に入れる。リスクシナリオとして、原油価格の反発が想定以上に進めばインフレが加速し、実質金利の下落につながり投資家の資金流出を招く懸念がある。20日に就任する米国のトランプ次期大統領の政策は依然不透明だが、「今後米国に資金が集まる政策をとれば、ルピア安がさらに加速する」と米国の政策に注視が必要と付け加えた。(佐藤拓也、写真も)

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