「選択肢を提示、検討へ」 準高速化 ジャカルタ〜スラバヤ鉄道 石井国交相来イ
石井啓一国土交通相は29日、南ジャカルタの公共事業・国民住宅省で会見し、ジャカルタ〜スラバヤ間(約750キロ)の既存鉄道を「準高速化」する構想に対し「日本側はすでに事業を進めるための選択肢を提示している」と説明した。日本の閣僚レベルでこの案件に具体的に言及したのは初めて。石井国交相は、今後インドネシア側が提示する要請を踏まえて検討すると強調した。
石井国交相は今回の来イで、両国間で協力して建設する西ジャワ州パティンバン新港のほかに、準高速化を検討中の鉄道現場も視察。同相は「政府要人との会談や現場の視察を通じ、インドネシア側の日本への期待の大きさを認識した」と説明した。
インドネシア側の発表では、準高速化の時速は160キロほどで同区間を5時間台で結ぶ計画。
今後の鉄道建設の行程について、同相はインドネシア側が事業化調査(FS)を行う予定と説明。FS調査について、ルフット・パンジャイタン海事調整相から日本の参画要請があり、「要請内容を伺ったうえで検討する」にとどめた。
この案件の主要議題の一つ、資金調達方法について石井国交相は、インドネシア側は円借款と、民間の資金やノウハウを活用するPPP(官民パートナーシップ)を組み合わせた方式を検討していると説明した。
29日に石井国交相と会談したブディ・カルヤ・スマディ運輸相は地元メディアに「ジャカルタ〜スラバヤ間の鉄道建設で日本と協力する」と公言。同日会談したルフット・パンジャイタン海事調整相は「日本側に融資期間を40年以上に設定するよう依頼した」と話している。ルフット調整相によると、金額は100兆ルピア規模。
ジャカルタ〜スラバヤ間の鉄道建設をめぐっては、ルフット調整相が10月に訪問し安倍晋三首相と会談後、ルフット調整相の説明で日本と協力すると公言。日本側は公式の場で鉄道建設について明言してこなかった。今回の視察で鉄道事業が本格化しそうだ。
先日のルフット調整相の訪日に同行したリドワン・ジャマルディン副大臣(インフラ担当)は「構想段階の当初から日本と協力することで進めている」と話している。(佐藤拓也、写真も)