透析医療のノウハウ共有 名古屋の偕行会 パレパレ市と提携

 日本の医療法人・偕行会グループ(本部・名古屋市中川区)は15日、南スラウェシ州パレパレ市との間で、透析医療の技術提供に関する覚書を結んだ。透析液を生成するための水処理技術、透析患者に対する運動療法や栄養などのノウハウを共有し、パレパレ市の医療水準向上を支援する。
 覚書の調印式は、偕行会グループの名古屋共立病院で開かれ、透析装置3台も同会からパレパレ市へ寄贈された。
 式に出席したタウファン・パウェ市長は「市の医療サービスはまだ足りていない。これからは透析治療においてインドネシアで一番の街にしたいと思っている」と意気込みを語った。
 同グループの川原弘久会長は「腎臓病や糖尿病治療で、インドネシアで最高水準の治療が実現できるように協力していきたい。新しく完成する病院にも透析医療のノウハウを全面的に提供していきたい」と話した。
 偕行会は透析液の水質改善も支援する。透析治療では、濃い透析液を水で薄めて使用するため、水道水などの水をろ過、不純物を取り除く。この際、有害なエンドトキシンや細菌などが混入すると、合併症を引き起こす原因になる。
 現在、パレパレ市の市民病院には40人の透析患者がいる。同市の透析用水には細菌が多く含まれており、偕行会の支援で、細菌を除去するフィルターを水処理装置の最後に設置し、水質改善に努める。
 インドネシアの透析治療は週2回が一般的。同市では補助金支給で週3回受けられるようにしている。透析は回数を重ねた方が効果が高く、日本では週3回が一般的だという。
 南スラウェシ州では、マカッサル市の医療サービスが最も充実しており、多くの患者が同市へ向かう。しかし、病床数などの許容量を超え、遠方から移動しなければならない不便さもある。
 パレパレ市では2018年に千床規模の病院が開業する予定で、州内の医療拠点化を目指している。今後は一般病棟での治療・入院を要する2次救急を同市で、重症患者に対応する3次救急をマカッサル市でそれぞれ実施できるよう、医療サービスを充実させるという。(毛利春香)

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