成長「心もとない」 三菱UFJ 来年の経済見通し ルピア安傾向に 消費緩やかに回復

 三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店は21日、2017年の経済見通しについて景気回復の兆しが見えるが、「依然心もとない成長」となる見方を示した。自動車販売台数の予想がことしよりも上向くとの見方が強く、消費は緩やかに回復する見通し。

 同行の西仲崇行ジャカルタ支店副支店長が中央ジャカルタのケンピンスキーホテルで行われたセミナーで見通しを示した。17年第3四半期(7〜9月)の対ドルレートの為替は1万3700〜1万4500ルピアのレンジとなる見通しを示した。21日のブルームバーグによる対ドルレートは1万3406ルピアで、徐々にルピア安に動く見通し。
 同氏はことしのルピア動向について、タックス・アムネスティ(租税特赦)への期待から証券投資の流入が続き、新興国通貨の中でもルピアは堅調に推移したと紹介。「租税特赦への期待から流入が続いていたが、法施行後は横ばい」。
 タックス・アムネスティの運用を終える17年4月以降は「想定以上の証券投資の流入などがない限り、ルピア安に動く可能性が高い」と話した。
 また、中央銀行が輸出振興のため、ルピア安を容認する傾向があると指摘、「1ドル1万3千ルピアはもはやルピア安水準ではないのでは」と指摘。昨年まで1万1500〜1万2500ルピアで事業計画を策定していた製造業が多く、今後はさらにルピア安への対応が必要になってくることを示唆した。
 トランプ次期大統領の影響については、米国の金利動向に注視する必要があるが、短期的にはこれまで続いた資金流入の調整にとどまるとの見方を示した。
 中央銀行の政策金利の見通しは現行の4.75%から4.0〜4.5%(17年第3四半期予想)と、金融緩和傾向が続く見通し。
 一方、政府が市中銀行の貸出金利を引き下げ資金需要を刺激したい意向で銀行間に働きかけていることに対し、「政策金利の利下げが市中銀行の貸出金利の低下に必ずしもつながるとは限らず、限界がある」と指摘した。
 インフレ率は落ち着き傾向にあり、経済政策が打ちやすい環境と分析。輸出・輸入の回復の兆しはなく、17年にかけ経常収支の赤字が拡大する可能性を示唆した。
 第2四半期で実質国内総生産(GDP)成長率をけん引してきた政府支出と投資が第3四半期で落ち込んだことについて、「17年政府予算案を踏まえても政府支出が成長をけん引していくのは難しい」とした。
 貸出伸び率とGDP成長の相関性についても指摘、「貸出伸び率がGDP成長に比べはるかに鈍化している」と述べ、資金需要が低調で、投資家の将来への不安を示していると指摘した。
■自動車販売は底打ち
 自動車の年間販売台数は17年にかけて増加するとの見方が強い。15年の101万台(出荷ベース)から、16年は約7%増の105万〜108万台まで伸ばす見込みで業界関係者は織り込んでおり、2年連続前年割れしていた自動車販売市場に底を打つ見込み。
 17年の自動車販売の見通しもさらに上向く見込みで、「17年は112万台を超える」(トヨタ関係者)との見方が多い。(佐藤拓也、写真も)

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