歌舞伎に初挑戦 来月17、18日に本公演 劇団en塾 オリジナル作「殿様の宴」
インドネシア人大学生による日本語ミュージカル劇団「en塾(エンジュク)」が12月17、18の両日、中央ジャカルタのジャカルタ芸術劇場(GKJ)で、年に一度の本公演を行う。演目は、団員ら計74人で作り上げるオリジナル作品「殿様の宴」で、演者は日本の歌舞伎や曲芸の数々に初挑戦する。
「殿様の宴」は、唄が苦手で気の弱い若殿の錦之助が、身分を隠して芝居小屋に紛れ込み、歌舞伎役者や長唄歌い、猿回しなどの座員と接する中で成長していくストーリー。芝居小屋のシーンでは、歌舞伎や長唄、かっぽれ、三味線、傘回し、南京玉すだれなどを取り入れた。
稽古のため、劇団は9月、3日間の合宿を実施。歌舞伎役者の菊月喜千壽さんや江戸太神楽の千川貴楽さんらプロを招いて手ほどきを受けて芸を磨いた。
本公演を約1カ月後に控えた20日には、東ジャカルタにあるクラマ・ユダ・ティガ・ベルリアン・モーターズ(KTB)のホールで関係者を招いたグランドリハーサルが行われた。
長唄歌いのヒロイン役で長唄に初挑戦するチャンドラ・レギナさん(23)は、「口をあまり開けずに歌うのが難しい」。語るように歌うことを心がけているという。
アリオ・アクダさん(29)は、「歩くのも大変」という重さ20キロの着物衣装を身につけ、歌舞伎の女形を演じる。2009年に入団し、卒団後も劇団を演技指導するベテランだが、「話し方も、動きも、化粧も、衣装も、今までで一番のチャレンジです」。
男性が女形を演じる歌舞伎は、日本ならではの伝統芸能。白塗りの化粧をして現れるシーンは「インドネシア人のお客さんの反応がちょっと心配です」とアリオさんは話す。
本公演は在インドネシア日本大使館との共催で、チケットは両日分がすでに完売。2日間で約千人の動員を見込む。
団長を務めるヌル・シャブリナ・サルサビラさん(24)は「見どころは芝居小屋でのパフォーマンス。日本の伝統的なパフォーマンスに対する日本のお客さんの反応がどうなのか、実はとてもドキドキしています」と話している。(木村綾、写真も)