34の発電所  建設中止 開発はジャワ島に集中

 政府はこのほど、ユドヨノ前政権時代から計画されていた34の発電所の建設計画を取り止めると発表した。2019年までの発電所の開発目標、計1万9千メガワット(MW)の建設計画の大半がジャワ・バリ島に集中し、将来的にジャワ島外の電力不足を懸念する声が広がっている。

 プラモノ・アヌン内閣官房長官がこのほど、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領に、ユドヨノ前政権時代の大統領令により計画された34の発電所の建設計画を見直す方針を報告した。
 プラモノ長官は、06年に施行された大統領令による発電所の計画について、「今日に至るまで建設できていない」と指摘し見直す方針を説明。「投入済みの予算3兆7600億ルピア(約310億円)の損失が出る」と明らかにした。政府は汚職の可能性を含め建設できなかった発電所の調査を進めている。
 国営電力PLNのソフヤン・バシル社長が18日、理由について、地元メディアに「正確な建設計画が立てられていなかった」と述べ、多くの案件に設計上の問題や請負業者との間に誤解が生じていたと説明した。建設計画が中止になったのは、ジャワ島外にある10〜20MW規模の小規模な石炭火力発電所の案件が多いという。
 政府はことし、電力開発を加速させるための大統領令(16年第4号)を施行。19年までに3万5千MWの電力開発、4万6千キロの送電線を敷設するため、土地収用や財政面で開発計画を後押しする内容を盛り込んだ。
 一方で、11月に入ってから19年までに完成させる発電所を絞り込み、すでに建設中か、融資契約を締結済みの案件を対象とし、総発電量3万5千MWから1万9千MWに修正した。PLNによると10月31日時点で建設中の案件は8541MW。融資契約を結んだ発電所は9790MWと、ほぼ目標の1万9千MWに相当する。PLN幹部は発電所の場所について、内訳は明らかにしなかったが、「IPP(独立系発電事業者)による案件が多く、ジャワ・バリ島に集中している」と話している。
 エネルギー鉱物資源省は電力需要の余力を示す供給予備率の理想値を30%としている。ソフヤン社長は「ジャワ島内はすでに30%を超え、安定供給が可能な値だ」と述べた一方で、「スマトラ島やカリマンタン島の予備率は依然少ない」と話しており、19年までにジャワ・バリ島に集中する開発計画に対し、関係者からジャワ島外の電力不足を懸念する声が広がっている。
 エネルギー鉱物資源省によると、ことしの世帯電化率は89.5%。残り10.5%に当たる約700万世帯、約2800万人が電力を享受できていない計算となる。当初計画では、3万5千MWを達成する19年に世帯電化率が97%に達する計画だったが、PLNは下方修正した1万9千MWの開発で電化率は93%まで達すると試算する。(佐藤拓也)

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