1万9000MWに下方修正 経済成長低迷で調整 電力開発目標3万5000MW

 国のエネルギー政策を議論するエネルギー評議会(DEN)は2019年までの電力開発目標、3万5千メガワット(MW)の期間内の達成は困難と判断し、1万9千MW分に下方修正した。直近2年で当初政府目標の経済成長率に届いていないため、3万5千MWの発電量を確保しなくても電力需要に応えられると判断した。
 14日に行われたエネルギー評議会の会合後、イグナシウス・ジョナン・エネルギー鉱物資源相が示した。5年間で3万5千MWの電力開発はジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権の目玉政策だが、ジョハン・ブディ大統領特別補佐官によると大統領もすでに事情を把握し、修正に合意しているという。
 19年までに開発する発電量1万9千MWの試算は建設中の発電所に加え、年内に融資契約を締結し、今後3年で建設可能な発電所を含めたもの。内訳は民間企業の枠組みで建設を進める発電所が1万1413MW、国営電力PLNは8350MW。
 エネルギー鉱物資源省のアルチャンドラ・タハル副大臣は「経済成長率が当初の政府目標より低いため、必要となる発電量も下がる」との見方を示した。
 3万5千MWの開発目標は、国内総生産(GDP)成長率が年平均で7%の想定で設定された。直近2年間の成長率は5%程度と低い。「今後の経済成長率が6%であれば、1万9千メガワットでも需要を確保できる」(アルチャンドラ副大臣)。
 現在の発電量は約5万7千MWとされており、政府は経済成長率が7%の場合、電力不足を防ぐためには5年間でさらに3万5千MW必要としていた。経済成長率が低ければ必要とされる電力量も下がる。一部の専門家は22年までであれば3万5千MWの電力開発が可能との見方を示している。
 PLNは依然、許認可の発行プロセスや融資契約の締結に時間がかかっていると批判の対象に上がっている。発電所の入札に参加経験のある企業幹部は「PLNと売買する電力の価格が当初契約よりも安かった」と不透明な入札プロセスを懸念する。
 土地収用も難航する事例が後を断たず、3万5千MWの発電容量の確保に必要な30の発電所で土地収用の見込みが立てられないという。PLN側は「財務省による融資契約の手続きが遅いため、計画通り進まない」と反論している。
 PLNによると15年の世帯電化率は84%で、24年までに99%まで普及させる目標を掲げる。(佐藤拓也)

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