ラーメンから衛星まで 民間の立場でインフラ開発 三井物産の田村所長が講演
三井物産の田村準ジャカルタ事務所長が29日、南ジャカルタのブディ・ルフール大学(UBL)で、インドネシアにおける取り組みや民間の立場から政府インフラ事業に参画する意義について講演し、同大の約250人が聴講した。
三井物産はインドネシアの大量高速鉄道(MRT)建設で、鉄道システムや線路工事を受注し、国内で人気の即席麺「インドミー」に使う小麦粉の輸入業務にも携わる。
今後は、小型衛星でパーム油農園の管理事業に参画していくことなどを明かし、「ラーメンから衛星まで」あらゆる事業にかかわる「総合商社」のビジネスモデルを説明した。
インドネシアは数年前、石油の輸出より輸入が多い「純輸入国」になったが、天然ガスも近い将来、純輸入国となる。これを見据え、同社は国営石油ガス・プルタミナとバンテン州にガスの受け入れ基地の建設に向けた話し合いを進めており、日本固有の総合商社として「ビジネスモデルを時代に合わせて変えていく」一例を紹介した。
こういった石油・ガスや港湾、鉄道など国のインフラ事業を民間企業の立場で組成していくことについて、「国の財政の負担にならない民間投資や専門技術の移転などで国のインフラ開発を支援している」と説明、「巨額投資となり、長期的にかかわるため、政府や事業の発注側から一定の保証を付与されることが望ましい」とリスク管理について説いた。
会場からはインドネシアのインフラ政策に関する質問が続いた。「現政権は中国に傾倒しているのではないか」と問われると、田村所長は「日本の技術は優れているが高すぎる面もある。中国はインドネシア政府のニーズを考慮していて、手強い競争相手」と説明した。
講演は「インドネシアのインフラ建設における日本の役割」をテーマにした公開講義(全5回)の3回目。(佐藤拓也、写真も)