【パッケージコンペ 特産品への道】(上) 優れたパッケージはどれ デザイン・保存・機能性を審査 菓子・コーヒー・シロップ 南スラウェシ州特産品

 南スラウェシ州の中小・零細企業を応援し、特産品を全国、世界へ広めたい――。そんな思いから同州の中小企業・協同組合局と国際協力機構(JICA)が主催(大手小売店カルフールと国営石油ガス・プルタミナが協賛)し、商品パッケージのデザインや機能性を競い合い、特産品の品質向上を目指す「南スラウェシ州パッケージ・コンペティション2016」の審査会が29日、南マカッサル市内の同州中小企業・協同組合局で開かれた。同州24県のうち18県が応募。各県の中小企業・協同組合局が中小企業から最大3品の商品を選んだ計50品が集まり、上位3品が選ばれた。

 集まった商品はスナック菓子やコーヒー、果物のシロップなどで、審査ではまず製品の保存性や、簡単に運んだり積み重ねたりできるかといった輸送や保管時の実用性を評価。「良い」「ふつう」「悪い」の三つに振り分けた。直接、商品を箱に入れることでパッケージに油が染み込んでいるものや、密封性が低くアリやカビが発生しているものもあり、ジャワ島など他地域への輸送や海外への輸出ができないものは、初めにはじかれた。
 審査員はJICAのデザイン専門家やマカッサル国立大(UNM)のパッケージ専門家、在マカッサル領事事務所の谷昌紀所長、カルフールの地元バイヤー、中小企業・協同組合局の職員ら6人。「良い」と評価された商品から三つを選ぶにあたり、それぞれの立場から異なる意見が飛び交った。
 1位に選ばれたのはパロポ県のホットチョコレート粉末「MADANI(マダニ)」。しっかりとした箱にブラウンの高級感あるデザインで商品内容もわかりやすく、値段も1箱5袋入りで1万5千ルピアと安い。中の小包装にも絵柄が印刷され、耐久性もあり全員一致で決まった。
 2位と3位の決定に難航した。絞り込まれた商品は、マカッサルから応募があったホウレンソウを揚げたスナック「Ospinachi snak(オースピナッチ・スナック)」と、ルゥ県のコーヒー「コピ・ビサン」。オースピナッチ・スナックは「デザイン性は高いが1袋1万5千ルピアと価格が高い」とカルフールのユアニタさんが言うと、インドネシア人も納得。一方で同州女性エンパワーメント・家族計画局配属でデザイン専門の長田愛美さんは「価格は高くてもおしゃれなパッケージなら、外国人がお土産に買う」と意見した。
 同州の中小企業・協同組合局のアリヤンティ部長は「確かにスーパーの商品としてや地元の人が買うには高いが、製品や値段によってターゲットや売り場は変えることができる」と話し、2位に決まった。3位の「コピ・ビサン」はシンプルで、一目見て商品のイメージができるデザインが評価された。
 UNMのパッケージ専門家のアジズ教授は、最も重要なことはパッケージに使われる素材や作る技術力だと話す。「パッケージそのものの質が悪いインドネシアでは、保存性に優れているかが最も重要。続いて中身の商品について確認し、デザインが良いかどうかは最後だ」と語る。アジズ教授は消費期限やハラルマーク、原材料などの説明書きがないものは全て低評価を下した。
 インドネシアではデザインはもちろん、保存性や機能性の劣るパッケージが多く、生産者からも「パッケージを改善したい」と声が上がる。南スラウェシ州政府もインドネシア全土や世界で競争力を持つ同州の特産品を売り出したいと、商品の質向上に力を入れ始めた。パッケージを通じて見えてきた、特産品の品質向上への課題や改善策を追った。(毛利春香、写真も)     (つづく)

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