被災地産品を供与 アンボンで記念式典 日本政府
東日本大震災で被災した福島、宮城、青森、岩手の4県で生産された工業製品などの被災地産品3億円分が、19日に日本政府からインドネシア政府に引き渡されたことを受け、公共事業・国民住宅省は23日、マルク州アンボンのマルク河川事務所で式典を開いた。
在インドネシア日本大使館の本清耕造公使とハリオノ・マルク河川事務所長や地元自治体関係者、同省の課長ら約100人が出席した。被災地産品は年末までに、国内各地に順次引き渡される。
日本が東日本大震災後に実施している政府開発援助(ODA)の一環で、「途上国の要望」を踏まえて行われる。
供与する製品は日本政府が購入する。被災した工場は受注増が見込めなければ、低下した生産能力を高めるための設備投資に踏み切れず、その分復興までの時間は遅れる。しかし政府から製品購入予算が提示されれば、投資することができるため、結果として復興支援につながっている。さらに、供与する品目は、途上国と調整し現地のニーズに合ったものを選ぶため、途上国の経済発展やインフラ開発支援などにも貢献している。
供与されたのは、建設機械のホイールローダー4台やパワーショベル11台、フォークリフト5台、赤外線カメラ3機など。河川護岸工事や洪水対策、研究開発のために活用される。また、村落・途上地域開発省へ職業訓練所の機材や小中学校向け救急セット726個も送られた。
今回の供与計画は、本清公使が課長時代の2011年11月、被災地を訪問して商工会議所などを回り、被災者と話し合って原案が作られた。
本清公使の案で、供与する製品には、途上国の防災能力を向上させるために活用できる製品が選ばれた。マルク河川事務所には、パワーショベル1台が引き渡された。
本清公使は「物品が供与できて感慨深い。これが安全・安心とインフラ整備の向上、災害対策の啓発の一助となり、日イ関係の一層の発展を願っている」とあいさつした。ハリオノ所長は公共事業・国民住宅省のムジアディ水資源総局長の祝辞を代読。「災害頻発国であるインドネシアに、こういった物資供与はありがたい限り。災害時の被害最小化や事前対策、発生時の緊急対応に活用したい」と歓迎した。
被災地産品が供与されるのは、マルク州のほか、西スマトラやブンクル、ランプン、西・中部ジャワ、南・西カリマンタン、北スラウェシ、ゴロンタロ、東・西ヌサトゥンガラ、パプアの12州とバタム島にある、公共事業・国民住宅省河川事務所11カ所や地方自治体の土木事務所5カ所など。(中島昭浩)