持ち株会社 年内に設立 6分野 政府保有で競争力強化 石油ガス・鉱業・金融 不動産・高速道路・食料

 政府は国営企業の持ち株会社の設立を急ぐ。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は12日に中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)で開かれた閣僚会議で石油ガス、鉱業、金融、不動産、高速道路、食料の6分野で国営企業省管轄の持ち株会社設立を発表した。  
 持ち株会社に関する閣僚会議はことし2月以来2回目。ジョコウィ大統領は「国営企業は経済の中心。強い国営企業をつくることで政府の中期計画を達成させる」と強調。さらにグローバル経済を勝ち抜くために持ち株会社制への移行を急ぐ姿勢を示した。
 政府の持ち株会社設立は、マレーシアの国営投資ファンド、カザナ・ナショナルやシンガポールのテマセク・ホールディングスなど政府系投資会社を参考にしているとされるが、「国営企業は国民の利益のためにある。その観点でテマセクとは異なる」(テグ・ジュワルノ国会第6委員会委員長)。
 ジョコウィ大統領は2019年までにインフラ分野や銀行など多くの業種で国営企業の持ち株会社設立を計画し、今回の持ち株会社が計画後初の事例となる見込み。マンディリ証券と米の大手コンサルタント会社、マッキンゼーが制度面を整備する。
 閣議後の会見でリニ・スマルノ国営企業相が持ち株会社の親会社として公表した企業は▽国営石油ガスのプルタミナ▽アルミニウムを製造するインドネシア・アサハン・アルミニウム(イナルム)▽国営企業省が管轄するブロッグ(食料調達公社)▽金融サービスのダナレクサ▽高速道路などを手がけるフタマ・カルヤ▽国営住宅建設のプルムナス——の6社。同相は親会社の政府保有比率を100%、子会社についても51%以上に定め、包括的に管理していく方針を示した。
 ユスフ・カラ副大統領は「同じ事業を手がける政府系企業が協力することで不必要な投資を減らせる」と持ち株制を説明。具体例として、プルタミナが国営ガスPGNとガスのパイプライン建設を手がけるほか、共同で地熱発電事業を行うと説明した。
 国営企業省で事務次官を務めたサイド・ディドゥ氏は持ち株会社制度について、資産と利益の両面で企業の規模が大きくなると肯定した一方で、「政党関係者が取締役に入り事業に支障がでる可能性がある」と指摘。この事例が成功すれば、国営企業省の役割を軽減できると分析した。
 持ち株会社構想は、スハルト、ハビビ政権時代の国営企業相、タンリ・アベン氏が立案していた。(佐藤拓也)

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