継続的な人材育成を 新潟NSG IT専門大学と提携
ゲームやアニメ、医療、介護など幅広い学校事業を手がけるNSGグループ(新潟市)はIT専門単科大学ISTB(西ジャカルタ)と提携し、インドネシアのIT・アニメ専門人材を育成する教育プログラムをスタートさせる。日イ両国の人材不足を解消し、ゲームやアニメ産業の発展を支援する。カリキュラムは8月下旬からの開始を予定している。
プログラムの期間は4年半。インドネシアで2年間、プログラミング言語など基本的なIT知識と日本語を学んだ後訪日。グループ内の学校で半年間日本語を勉強した後、同じグループ内で2年間、IT技術とアニメ・マンガ専門学校に通い、日本で通用する技術を学ぶ。
NSGグループで海外展開事業を担当するNSGインターナショナルの牧浦秀紀社長(37)は「日本に学生を送るだけではなく、日本での就職や帰国後でも仕事を継続できるよう、実践的な内容を盛り込んだ。しっかりとした技術を持ち帰ってほしい」と自信を見せる。
日本のゲーム・アニメ業界では、スマートフォンが普及し始めた2005年ごろから、東南アジアへの業務委託が増え始めた。アニメ業界では、彩色などの単純作業が多く、委託先の国内産業発展への貢献度は大きくなかった。NSGグループのIT技術やアニメ・マンガの専門学校は、就職率が高く、インドネシア人が就業することで、日本の人材不足解消にもつながっていく。
西ジャカルタ・パルメラのISTB校舎では4日、日本のゲーム・アニメ業界に関するセミナーが開催され、NSGグループの専門学校講師らが講演した。大学生など65人が熱心に耳を傾けた。終盤にはゲーム制作の体験授業があり、来場者は初めてのプログラミングを楽しんだ。
講演した新潟コンピューター専門学校ゲームクリエーター科の川原健学科長(33)によると、日本では求められる技術水準が高く、就職が難しい状況になっているが「自分で考えて動ける学生は常に需要がある」と話した。
インドネシアでは、ゲーム制作会社「タッチテン」などの企業が日本の大手企業の制作案件に携わっているが、発展途上にある。技術を持った人材が不足しているのが現状で、プログラムを通じて専門的な人材を継続的に確保していく。日本語習得により、日本からの受注増や業務効率化も期待できる。
ISTBのスディノ・リム学長は基調講演で「『ポケモンGO!』のように、一つのゲームで大きな成功を収めることもある。日本で働き、帰国後は国内ゲーム産業の発展に貢献してほしい」と激励した。
ことしISTBに入学したハルディさん(18)は「初めてゲームを作った。もっと勉強したい。アニメも好きだし、日本で働いてみたい」と目を輝かせて話した。(中島昭浩、写真も)