世界一のホテル スンバ島のニヒワトゥ 収益運営の財団 文化と住民支援 今年の米有力旅行誌
世界的に有力な米国の旅行雑誌「TRAVEL+LEISURE(トラベル・アンド・レジャー)」は6日、東ヌサトゥンガラ州スンバ島にあるリゾート「ニヒワトゥ」が世界一のホテルに選ばれたと明らかにした。スンバ島はサーフィンの聖地の一つであるだけでなく、スンバ人特有の伝統文化が残る秘境の地として知られる。
同誌は観光分野におけるランキングを毎年発表。読者らが投票する「ワールドベストアワード」のほか、ホテルや島、街などの項目がある。「世界のトップ100のホテル」では、読者らが宿泊料金や室内設備、場所、サービス、食事や飲み物などで採点。ニヒワトゥが初めて1位に選ばれた。
ニヒワトゥは、スンバ島タンボラカ空港から車で約1時間半。500ヘクタール超の敷地内には、インド洋を臨む約2.5キロのビーチがあるほか、スンバ島伝統の建築様式を取り入れたかやぶきのヴィラ約30棟などがある。サーフィンやシュノーケリングなどのウオータースポーツや乗馬、トレッキング、伝統的な村の訪問などさまざまなアクティビティが楽しめる。
スンバ語で始祖や祖先を示す「マラプ」の精神を重んじている。同リゾートでは現在、スタッフの9割が地元住民で占められ、島での雇用創出に貢献。スンバ島独自の文化・伝統の保護にも努め、こうした生活を営む住民を支援するため、収益で運営する「スンバ財団」を2001年に設立した。
同財団は宿泊客やコミュニティー団体と協力し活動。四つの医療クリニックとマラリア診療所、100を超える井戸や給水場などを建設した。小学校15校も改装し、栄養失調の子ども80人への支援プログラムのほか、週に2回子ども1100人分の給食を支給している。
■未知への好奇心
インドネシアのリゾートがトップに輝いたのは初めてで、トラベル・アンド・レジャーは「多くの人が最も驚いたのは、インドネシアのリゾートが1位に選ばれたことだ」。ニヒワトゥのオーナーであるクリストファー・バーチ氏は「(これまで求められてきた)ホスピタリティ中心のぜいたくさは、変わりつつある。未知のものへの好奇心やこれまでになかった経験、自分で旅程を組む個人的な冒険などに多くの旅行者が注目している」と指摘する。
同誌によると、これまでは長い道のりを経てたどり着いた自然豊かな離島の宿泊施設がランクインしていたが、今回の調査では都心から遠すぎず、交通の便が良い場所にあるホテルやリゾートが上位に入った。
また独立した小さな宿泊施設が大部分を占めていたが、ラグジュアリーホテルの「ザ・ペニンシュラ・上海」(14位)が5年連続で上位にランクインするなど、世界的に知られているブランドのホテルも注目されつつあるという。
クリストファー氏は「お客様には他にない、新たな発見や特別な体験ができるよう、ブランド戦略を進めていきたい」と語った。(毛利春香)