日イの言語教育を探る ダルマプルサダ大でシンポ
日本語教育とインドネシア語教育について考える国際シンポジウムが3日、ダルマプルサダ大学(東ジャカルタ)で2日間の日程で始まった。両国の研究者ら約25人が言語教育の現状や課題、取り組みなどを報告する。
同大学と日本インドネシア学会が、日イの教育への理解を深めることを目的に初めて開いた。
初日は、インドネシアで日本語を教える教師らと日本でインドネシア語を教える教師らが登壇し、日本語教師や日本語を学ぶ学生など約60人が聞き入った。
国際交流基金ジャカルタ日本文化センター・日本語上級専門家の八田直美さんは、インドネシアは中等教育での日本語学習者数が約84万人と世界1位(2012年同基金調査)であると説明。そのうえで、中等教育では13年に新しいカリキュラムが導入されたにもかかわらず、カリキュラムに沿った教科書や教師向けの実践的な研修が不足している現状を指摘し、教師間の横のつながりである「教師ネットワーク」の活用などを提言した。
教師ネットワークの一つ、インドネシア日本語教育学会でジャボデタベック(首都圏)支部長を務めるナシオナル大学(南ジャカルタ)日本語教師のリタ・スサンティさんは、日本語を学べる首都圏の大学についてまとめ、「ほとんどの大学が日本語能力試験3級(N3)取得を目指している」と特徴付けた。日系企業への就職を見据えた授業や学生の卒業後の進路についても発表した。
日本インドネシア学会会長で神田外語大学(千葉市)の舟田京子教授は、日本でのインドネシア語教育の歴史や「学生のモチベーションを上げる」インドネシア語教授法について報告。インドネシア語の劇を学生が台本から上演まで手掛けることで「読む、聞く、書く、話すが全部実践できる」という同大学のユニークな取り組みを紹介した。
将来は日本語教師に就きたいという、パジャジャラン大学大学院(西ジャワ州バンドン)2年のアンディタ・ガルーさん(25)は「卒業後の就職に役立つ情報があった。(民族言語学についての)論文作成のヒントも得られれば」と話していた。(木村綾、写真も)