大統領令を原則優先 BKPM 日系企業向け説明会 規制緩和のネガティブリスト
先週公表された外資企業の出資比率や条件を定めたネガティブリストに関する大統領令(2016年第44号)について、投資調整庁(BKPM)は2日、南ジャカルタのBKPM講堂で日系企業向けに説明会を開いた。企業からは用語の正確な定義や、他省庁の政策との相関性について確認する質問が相次いだ。
BKPMと日本貿易振興機構(ジェトロ)ジャカルタ事務所、国際協力機構(JICA)ジャパンデスク、ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)が協力して開催。日系企業幹部ら約200人が出席した。
BKPMは今回のネガティブリスト改正で▽物流や製造コストの削減▽オンラインを通じた小売業の発展▽映画などクリエーティブ産業の育成▽労働集約産業の発展に向けた人材育成の充実▽観光産業、再生可能エネルギーの促進――を目指した改正と強調した。
さらに経済特区は、ネガティブリストの対象にならないとしたほか、地方政府が指示する条件などを撤廃し、投資環境を整備。複雑だったリストの内容も簡略化に努めたと説明した。
■民間事業も対象
質疑応答では、公共事業分野とディストリビューター(卸売・倉庫業)分野への質問が目立った。
公共事業分野で「500億ルピア超の建設事業」に対して外資企業の出資が67%許可されたことに対し、BKPM投資緩和担当のユリオット局長は「公共事業に限らず、民間事業も対象」とした。
また、ネガティブリストの表現が公共事業省の政令と整合性がとれないことに対し、「他省庁と整合性がとれない内容について、基本的に大統領令で施行されているネガティブリストの規定が有効」(同局長)とネガティブリストを優先する方針を説明した。
ユリオット局長は、ネガティブリストと省庁の政令内容に矛盾が生じた場合に対応する機関として、経済調整省の下に設置された「輸出投資向上国家チーム」を紹介した。
■生産拠点の有無
ディストリビューターは、前回2014年のネガティブリスト改正時から用語の定義や範囲について議論が多い分野。今回の改正で緩和されたが、条項内の表現について質問が殺到した。
ユリオット局長は「インドネシアに生産拠点のない企業がディストリビューターの会社を設立する場合、外資出資は67%、拠点のあるディストリビューターは100%認める」と説明。具体的に「トヨタは国内に生産拠点を持っているので、トヨタは100%出資のディストリビューター設立が認められる」と説明した。
8年間インドネシアでコンサルティング業務を手がけているフェアコンサルティングインドネシアの佐藤篤取締役は「前回のネガティブリスト改正は規制強化の側面が強かったが、今回は制度面を含むあらゆる点で外資の受け入れ態勢を整備している印象」と話した。(佐藤拓也)