「小売業は地域と共に」 イオン菓子社長 アル・アズハル大で講義
アル・アズハル大学(南ジャカルタ)で26日、イオン・インドネシアの菓子豊文社長による講義が開かれた。小売業の理念や事業展開について解説し、文学部日本語学科などの学生約50人が聴き入った。
同大日本研究センターと文学部日本語学科が、日系企業の経営者らを招いて行う特別講義「チャレンジ! 日本に学ぶ」の一環。
イオンは1年前にバンテン州南タンゲラン市にイオンモールBSDシティを開店した。菓子社長は、1984年に小さなスーパーマーケットを初出店したイオンマレーシアの事業展開について話をした。「残念ながら小さすぎてつぶれてしまった」ものの、「マレーシアの人と一緒に店を作っていく」ことで現在では約30のモールを構える同国最大規模の小売業へと成長した、と説明した。マレーシア人で社長に就任した、メリー・チューさんを挙げ、「イオンは現地の人に社長になってもらうことをポリシーにしている。インドネシアでもいつか、インドネシア人に社長になってもらいたいと真剣に考えている」と話し、学生の関心を引いた。
イオンモールBSDシティの取り組みを紹介する場面では「店を作る時は必ず地域住民の話を聞くと同時に、その地区でどんな店が求められているのかということを前もって研究する」と話し、小売店が地域と共に発展していくことの重要性を説いた。
■高い品質安い値段
「私たちが気を付けていることは、高い品質で値段を安くするということ」と述べ、「品質の高いものであれば喜んでインドネシアから調達する」と強調した。また、ロンボク島のメロンやトウモロコシを日本のイオンで売る試みを挙げ「インドネシアで商品を販売するだけでなく、インドネシアの商品を日本に売り込んでいる」と話した。
講義後は学生からの質問が相次いだ。日本語学科4年のマヤ・ハリダ・ヤニさん(22)の「なぜジャボデタベック(首都圏)にモールを作らないのか」という質問には「私たちが扱うのは安い商品が多い。ジャカルタのように土地が高いところでは、たくさん買ってもらえないと、土地代が払えない。ただ、すしや天ぷら、たこ焼きなどが人気で売れ行きが良い、スーパーだけを首都圏に出すことは検討している」と答えた。
一方、インターンシップ(就業体験)の受け入れなど、卒業後の進路を見据えた質問も出た。同大学のフェラ・ユリアンティ講師によると、最近は大学3年ごろから3カ月程度のインターンシップをする学生が増えており、日本語学科の学生の多くが日系企業で働くことを希望しているという。講義を聴いた日本語学科3年のデヴィナンダ・アティヤナさん(21)は「就職活動に役立つ情報が得られたし、日本人の働き方や努力する大切さを学び、勉強になった」と話した。(木村綾、写真も)