アチェ州知事が追悼 東日本大震災5年 宮城県気仙沼市を訪問 防災・水産加工で協力

 東日本大震災から5年を迎えた11日、宮城県気仙沼市の気仙沼総合体育館ケー・ウエーブで開催された追悼式典に、アチェ州のザイニ・アブドゥラ知事が出席し、被災者に哀悼の意を表した。2004年末に22万人超が犠牲になったスマトラ沖地震・津波の体験と東北の震災被害を重ね合わせ、防災分野でのさらなる協力強化と同州の水産資源を生かすため水産加工分野での協働を呼びかけた。
 ザイニ知事は来賓あいさつで、日本をはじめとする友好国からの多大な支援でアチェ州の復興は成し遂げられたと謝意を伝え、「日本は資金だけでなく、災害研究の分野で多くのアチェの研究者を育成していただいた。支援は現在も続いている」と話した。 
 アチェ州政府とインドネシア政府、日本政府との間でのさまざまな分野における防災分野の協力の中心地として、同州に「日本センター」を設置したいと表明した。 
 気仙沼市は震災当日、津波で漁船の燃料を補給する基地のタンクが引火し、大規模な火災と津波により被害が拡大した。 
 菅原茂・気仙沼市長は「早くも5年の歳月が流れた。1244人(16年2月末現在)が犠牲となり、関係当局の懸命の捜索にもかかわらず、そのうち224人が今もなお行方不明となっている」と数千の菊で作られた献花台を前に声を詰まらせた。被災後のストレスなどによる震災関連死の認定件数は108件に上る。 
 11年にユドヨノ前大統領夫妻が気仙沼を訪問中、復興資金200万ドルの寄付を約束する書簡を菅原市長に手渡した市民会館で当時、館長として出迎えた松下尚子さん(70)は「大きな手で握手してくれたユドヨノ前大統領が帰られた後も、在日インドネシア大使館の方々にバティックの布や袋、本をいただき支援してもらった。今回はアチェの知事が訪問してくれて感激した」と語った。松下さんは津波で夫を亡くしている。 
 追悼式には1400人が参加。同市内3カ所に設けられた献花台を合わせると、昨年を上回る約2300人が追悼のために足を運んだ。同市の人口は6万4917人(15年国勢調査)。10年に比べると8572人(11・7%)減少した。応急仮説住宅には4763人、民間賃貸でのみなし仮設には1584人が暮らしている。(宮城県気仙沼市で中島昭浩、写真も)

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