ハイドに会いたくて 編集長は広告マン イ版ビジュアル系サイト イルハム・シャルラさん(25)

 「ハイドさん、インドネシアをどう思いますか」
 5月1日、南ジャカルタのホテル・ムリア。初のインドネシア公演でジャカルタを訪れた日本のロックバンド「ラルク・アン・シエル」の記者会見で、大手メディアの記者に混じって質問を浴びせる広告マンがいた。イルハム・シャルラさん(25)。仕事の傍ら、ビジュアル系ウェブサイト「JaME」のインドネシア版編集長を務めている。
 JaMEは日本のビジュアル系専門メディア「スターチャイルド」が全世界28カ国で多言語展開している音楽情報サイト。各国で公演する日本人アーティストのライブ情報やインタビュー内容を掲載しており、インドネシア版は今年3月に開設したばかりだ。
 イルハムさんは中学生のころから日本のビジュアル系バンドに夢中になり、大学では日本語学科を専攻した。その後、広告代理店に就職したが「一度でいいから直接ハイドさんに会ってみたい」と思い続け、どういう方法があるのか悩んでいた。そして、いつも見ていたJaMEに意を決して一通のメールを送る。「JaMEインドネシア版を立ち上げたい。私にやらせてください」
 ダメもとでメールを送ったが、すぐに返信があった。「ラルクがちょうど世界ツアーをする。いいタイミングだ」。差出人の名前を見て驚いた。世界各国のJaMEを束ねるフランス人社長が了解の旨を直接伝えてきたのだ。
 ラルクのライブは5月。イルハムさんは大急ぎで、ミニブログ「ツイッター」や交流サイト「フェイスブック」を通じてインドネシア版サイトを運営する仲間を募った。当初、集まったスタッフは20人。たまにオフ会で会う以外はメールとチャットで連絡を取りながら、当日のインタビュー計画を立てた。
 記者会見当日、夢だったハイドさんとの対面を果たした。「なぜ屋外公演を選んだのですか」(イルハムさん)、「外でファンと盛り上がりたかったんだ」(ハイド)―。イルハムさんがインドネシア語で書いたインタビュー記事は英語やほかの言語に翻訳され、JaMEの歴史の中で最も多くの人に読まれるなど読者から大好評を得た。
 「お金にあまりならなくても、好きなことがやれてうれしい」とイルハムさん。今後はもっと日本のアーティストをインドネシアへ呼ぶため、編集長という立場で日本の音楽事務所などへ積極的に働き掛けていきたいという。
 一通のメールがイルハムさんの人生を変えた。「何かを手に入れたいなら、必死になって方法を考えなきゃ」。その目には自信がみなぎっていた。(岡坂泰寛、写真も)

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