人材育成は永遠のテーマ 裾野産業拡大に寄与 金型工業会10周年

 金型産業の振興を支援するインドネシア金型工業会(IMDIA)は1日、南ジャカルタの工業省で、設立10周年記念式典を開いた。2006年2月22日の発足当時は約80だった会員数も、現在は企業・個人計454に増加。インドネシアの裾野産業の拡大を目指して人材育成を中心に注力し、金型の生産額は10年間で7倍になるなど成果を上げている。                           
 金型の現地調達率は2006年の23%から15年には54%まで上昇し、金型生産額も7倍となった。20年までには大型・高精度・高技術の金型を含む現地調達率70%、会員数600を目指す。運営も会長職をインドネシア人が担うなど現地の会員が主体となって運営できるようにする。また、世界への輸出金額は総金型生産額の10%を目標とし、鋳造型やゴム型、超硬合金型の現地調達への取り組みも開始する。
 IMDIAは、インドネシアの産業発展のため、車や家電など多くの製品を作るために必要とされる金型の関連業界をつなげ、「ものづくり」を支援し裾野産業の発展に貢献することを目的に発足した。
 同会への参加には国籍は問わず、インドネシアに邦人または家族が居住しており、裾野産業の発展に寄与するという条件のみ。会員同士で経営・技術・技能などの情報を共有し理解を深めるだけでなく、ワークショップやセミナーなどの活動を通じてインドネシアの地場産業の金型技術・技能などの能力向上に寄与してきた。
 IMDIAの高橋誠会長は「人材育成は永遠のテーマ」と話す。日本と同水準の評価を受ける厚労省所管の特別民間法人、中央職業能力開発協会(JAVADA)と国家職業訓練認可庁(BNSP)主催の国家技能検定試験のためトレーニングを実施するなど、合格を後押しするとともに、設計や管理、メンテナンス方法などの能力を問うIMDIA独自の認定試験を実施してきた。
 現在、認定を受けたのは計2495人で、その中から専門知識や教え方、人間性の20項目で評価され選ばれたインストラクターは409人。インストラクターに認定されたインドネシア人スタッフは新たなインストラクターを育成・認定できるため、循環型の人材育成体制ができつつあるという。今後5年間では、5千人の認定者と500人のインストラクターの育成を進める。
 高橋会長は大学生レベルでは技術の向上、社会人レベルでは技術マネジャーをいかに育てるかが重要だと強調する。「インドネシアには金型が作れるという会社は約500社あるが、車や家電、オートバイの生産量から考えると現地調達率を100%にするには最低1千〜2千社が必要。金型はなかなか利益が出ないからやりたくないという人も多く、企業家や企業を育成する必要がある」と話した。
 IMDIAの谷川逸夫事務局長は、金型は簡単なものから製造し、やればやるほど難しい金型が残ると説明したうえで、「現地調達率を70%にするために足りない16%の中には非常に高技術で高性能な金型がたくさんある。対応できる設備が必要なだけでなく、発展が進むインドネシアでは短期間で達成しなければならない」と話した。
 式典にはIMDIA会員と工業省のシャリフ・ヒダヤット事務次官、本清耕造公使、日本貿易振興機構(ジェトロ)の春日原大樹所長、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)の野波雅裕社長、インドネシア・エプソン・インダストリー(IEI)の阿部栄一社長ら約100人が出席した。(毛利春香、写真も)

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