インドネシアに「道の駅」? 地域開発目指し国交省などセミナー
インドネシア公共事業・国民住宅省道路研究所(IRE)は29日、南ジャカルタ・アンバラホテルで、観光や道路整備の観点から地域開発を考えるオープンセミナーを日本の国土交通省などと共催で開いた。インドネシアには日本の「道の駅」のような施設を全国に作る計画があり、「道の駅」をめぐってさまざまな意見が交わされた。
日本の国交省国土技術政策総合研究所、土木研究所、土木学会が共催した。
基調演説でヘルマント・ダルダック地方インフラ開発庁長官が、インドネシアは人口が都市部に集中しており、都市と地方の経済格差を是正する必要があると指摘。「35の戦略エリアを設定し、各省庁が連携して地域を開発する必要がある。インドネシアで進めているスマート・トラベラーズ・プラザは日本の『道の駅』をモデルにしている」と述べた。
同プラザは観光地や観光地への道中に建設し、駐車場や地域振興を核とする施設だが、まだ構想段階という。
特別講義で首都大学東京大学院都市環境科学研究科の清水哲夫教授は、インドネシアと日本がともに外国からの観光客が増加しており、内需が強いという共通性を指摘。日本国内の旅行では、ほぼ半数の移動手段が車という特徴があり、寄り道をしながらの観光や「道の駅」が旅行者に受け入れられていると指摘した。その上で、インドネシアに対しては、道路状況の改善や外国人が運転しやすい環境づくりなどを提言した。
また、国土技術政策総合研究所の伊藤正秀・道路交通研究部長は「道の駅」の成功条件として、地方自治体と地域住民が一緒に計画を策定することの重要性を指摘。地域住民と外部利用者双方が同じサービスを受けることができるようにし、地域住民は地元の自助努力で農産・特産物の価値を高めて収入を増やし、従業員のやる気向上を図ることが大切だと話した。
インドネシアでの「道の駅」について清水教授は「インドネシアは地域格差が激しく、ジャカルタ以外では車を持たない人が多い。インドネシア経済が成長し、インフラ整備が進めば車を持つ国民が増えて、道の駅の需要が拡大する可能性がある」と述べた。(上岡尚樹、写真も)