「多様性生かした豊かさを」 クックパッドの佐野社長  「ブーストアジア」を開催 IT業界の発展目指す

 中央ジャカルタのホテル・インターコンチネンタル・ミッドプラザで十七日、十八日の二日間、経営学を学ぶ学生や、国内のIT関連企業社長など十人によって組織されたチームが企画し、テクノロジーを活用したビジネスを行う国内外の起業家や実業家を招き、インドネシア国内のスタートアップベンチャー企業のサポートを目的とした「ブーストアジア」が開催されている。ビズネット・ネットワークス社、XL社、グリーが協賛した。
 企画者の一人でもあるビズネット社のアディ・クスマ社長がインドネシアのIT業界の現状を俯瞰(ふかん)し、人口規模などから今後の成長性、また現在建設が進む同社の新データセンター・テクノ・ビレッジなどの説明を行った後、一千万人という世界最大の会員数を誇る料理レシピサイト「クックパッド」の佐野陽光代表執行役社長が基調講演を行った。
 「なぜジャワ島でスターバックスのコーヒーを飲んでいるのか」という問いかけから始めた佐野社長は他社の真似をするのではなく、その地域独自の特色を発見することの重要性を強調。初めて訪れたインドネシアの印象について、豊富な資源などから「チャンスを秘めている国」と話した。
 さらに現在のテクノロジーの発展によって、「ただ先進国の後を追うのではなく、インドネシアの多様性を担保しながら本当に豊かな生活を目指すことができるのではないか」と指摘し、鍵を握るのは起業家であるとの見解を示した。
 また、会場に集まった約三百人ほどの実業家や起業家が、動画投稿サイト「ユーチューブ」の設立時のメンバーであるブレント・ハーレイ氏や、マイクロファイナンス事業を行う「ルマ」のアルディ・ハルヨプラトモ氏らと議論を繰り広げた。
 今回のイベントを企画した一人であり、ハーバード・ビジネス・スクールに在籍する河野龍氏は、イベントを開催したきっかけについて「インドネシアのIT業界を盛り上げていきたいと考えていたとき、IT業界にお金はあるが、何かが足りないと感じていた」という。今回の企画者らと話しているうちに「その業界などで成功しているメンターが足りない」ということに気づき、次の世代の起業家にその経験を継承することで、インドネシアのIT業界を発展させることができるのではないかと思い至ったという。
 河野さんは今回のイベントの目標について?メンターシップを増やし交流の場を作ること?他業界の人と人を結び、コラボレーションを行うこと?海外の人にスタートアップ企業を紹介すること―を挙げた。企画者の一人であるメラプティ・インキュベーター社のアントニー・リエム社長は「今回のイベントを通じて、一人でも多くの起業家や実業家がインドネシアで育ってもらえればうれしい」と話した。(高橋佳久、写真も)

社会 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly