輸出4億ドル目指す 増強工場がPVC初出荷 アサヒマス・ケミカル
旭硝子(本社・東京都千代田区)の子会社アサヒマス・ケミカルは12日、バンテン州チレゴンの自社工場で、2013年に約400億円を投じ、昨年末に完工した増強設備で生産した塩ビ樹脂(PVC)20トンの初出荷式を開いた。アサヒマスは増強設備により生産能力が倍増。内需の増加だけでなくインドネシアからの輸出増に対応する生産体制を整えた。輸出額は現在の約3.5倍の年4億ドルを目指す。
主力製品を生産するクロール・アルカリ事業の生産ラインを増設した。生産能力はカセイソーダが20万トン増の年70万トン、塩ビモノマー(VCM)が倍増の同80万トン、PVCが25万トン増の同55万トンとなった。
約4億ドルの投資で同工場敷地内に建設する自家発電事業定礎式も併せて開催した。塩水の電気分解を行う同事業の生産コスト削減が目的。電気代のほとんどを賄うことができる規模となる。発電所は国内で豊富に採れる低品位炭を高効率に燃焼でき、バイオマス燃料との混焼も可能な循環流動層ボイラー(CFB)方式で、発電能力は約250メガワット。17年内の稼働を目指す。
PVCはVCMの製造過程で精製される、配管用パイプなどの原料。アサヒマスの調べでは、2月末に国内で競合するイースタン・ポリマと、オーストラリア が拠点の競合他社がPVCの生産を終了する。これを受けた需要増のほか、インフラ整備や建設ラッシュが続く東南アジア各国やインドなどからの外需に応える。
旭硝子の島村琢哉社長は「日本よりコスト競争力がある。地産地消を推進し、生産・人的拠点を面で拡大していく」と強調した。
式典に出席したフランキー・シバラニ投資調整庁長官は「(投資を)好意的に受け止めている。州内の雇用創出にも繋がる」と話した。チレゴン工場の増設に伴いアサヒマスは200人を新規雇用し、現在の従業員数は1200人。(中島昭浩、写真も)