看護師 再挑戦(下) 病院での対応さまざま 厳しい仕事との両立 資格取得諦めない
経済連携協定(EPA)に基づく看護師候補者として訪日するには、最低2年間の看護師経験が必須。メリー・モニカさん(31)はジャカルタで看護師として働いていたが、海外の医療や看護について幅広く知りたいと思うようになり、最新技術がそろう日本で新しい経験を積もうと日本行きを決意した。
2011〜14年にEPA事業に参加。岐阜県の病院で午前8時〜午後5時ごろまで働き、家で勉強する日々が続いた。「慣れない生活の中で、仕事と勉強を両立するのはとても厳しかった」と振り返る。
日本政府が1年に4回実施する模擬試験などに加え、国家試験に合格するには自主的な勉強が不可欠。看護師は3年、15年に決定した延長の措置を得ても最長4年の在留期間中に、日本語で出題される国家試験に合格しない限り、日本で働き続けることはできない。
看護師候補者を受け入れる病院での対応もさまざまだ。モニカさんのように1日働く病院もあれば、毎日2〜3時間の勉強時間が決められていたり、国家試験の3カ月ほど前から看護師の手伝いはせず、勉強に集中するように時間を設ける病院があるほか、日本の看護学校へ通っていた候補者もいる。09〜12年に訪日していたコイマンさん(32)の病院では、午前中は看護師の補助として働き、午後からは国家試験の勉強にあてるよう言われていたという。
モニカさんは「院長から1〜2時間ほどの自習時間をもらうこともあったが忙しく、とてもできなかった」と振り返る。一方で、病院内を病棟別にまわり、施術方法や医療器械などを見て学ぶ機会が多く、とても勉強になったという。「ここまで頑張ってやってきたのに諦められない。絶対に看護師の国家資格を手にしたい。そしてまた日本で働きたい」とモニカさんは語った。
勉強会では質問が飛び交い、JAMNAの小笠原広実研究員が丁寧に一つ一つ説明する。最近ではジャカルタ在住で看護師の資格を持った日本人によるサポートも増えている。「試験内容と絡めながら日本の看護の特徴や良さ、生活習慣なども合わせて知ってもらえるよう工夫しているのは、日本で働くようになってから必ず役に立つから。絶対に合格したいと言う彼女たちを応援し続けたい」(毛利春香、おわり)