看護師 再挑戦(中) 初めて知った入浴介助 日イの生活面の違い 問われる幅広い知識

 看護師国家試験を受験するインドネシア人にとって難しいのは、日イの生活習慣や看護現場での違いだ。インドネシアでは患者数に対し医師の数が少ないため、看護師も医療知識や技術が求められる。日本の看護師ができない動脈採血や、特別免許を取得すれば気管挿管の施術ができるなど、日本と比べより専門的な医療処置ができる。また患者の生活・精神面などのサポートは家族が世話することが一般的だ。
 勉強会を開いているJAMNAの小笠原広実研究員は「日本で看護師を目指す人より知識や経験は豊富。だが日イで求められる看護師の仕事内容に差があり、インドネシアでの看護経験をもとに回答すると、日本の看護師の倫理や患者との付き合い方、生活面や精神的な部分を問う問題で間違ってしまう」と話す。
 例えば患者の身体拘束について「精神科病棟での身体拘束で適切なのはどれか」という問いでは、全員が「身体拘束の開始の合図は医師および看護師が行える」という誤った回答を選んだ。日本では看護師による拘束は禁止されており、指示できるのは医師の中でも精神保健指定医のみだが、インドネシアでは医師の指示があれば看護師は従うのが原則のため「医師および」と記載された設問を選択してしまった。 看護師国家試験は選択式で、文章や絵を読み解き、間違ったものや正しいものを選ぶ。「非ステロイド」や「タミフル」、「ロキソプロフェン」など薬の種類や名称などを指すものが多くあり、漢字だけでなくカタカナで書かれた専門用語も難しいという。さらに日本で関心が高い糖尿病の合併症や脂質異常症などの病気から、医療報酬や社会保障、近年の家族構成まで幅広い知識が問われる。
 2009〜12年に看護師候補者として訪日したメティ・ロシタワティさん(44)は日イの生活環境や習慣の違いに戸惑ったという。「日本人はシャワーだけでなくお風呂に入って体を休める習慣があるが、インドネシアでは一般的ではない。入浴介助などは初めて知った」と話す。また高齢化の進む日本の病院ではインドネシアに比べ、高齢者が多いことにも驚いたという。(毛利春香、つづく)

日イ関係 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly